衆院選で “ふざけた比例名簿” を作り続けた日本維新の会が失速するのは当然である
旋風を起こしていた日本維新の会が失速し、代表を務める松井一郎・大阪府知事は「力不足の理由が分かっていたら、負けへん」と発言しています。
ただ、理由は単純なものでしょう。過去3回の総選挙における “維新の本拠地” である近畿地区の比例名簿を見れば、理由はすぐに判明するからです。
1:日本維新の会は過去3回の総選挙で近畿地区は比例単独1位の候補を立てている
過去3回の総選挙で日本維新の会は近畿・比例区で単独1位の候補を擁立しています。この人選が「毎回ヒドいものだった」と言えるでしょう。
総選挙 | 議席数 (近畿比例区) |
比例単独1位の候補 |
---|---|---|
2012年 | 10議席 (2,999,020票) |
東国原 英夫 (2013年12月に議員辞職) |
2014年 | 8議席 (2,202,932票) |
小沢 鋭仁 (→ 民進党 → 希望の党から出馬) |
2017年 | 5議席 (1,544,821票) |
森 夏枝 (重複:京都3区、惜敗率:26.2%) |
要するに、「絶対当選する」という近畿・比例区の単独1位の席を大阪はおろか、関西に縁もゆかりもない候補に “プレゼント” してきた経緯があるのです。
有権者から見放されて当然と言えるでしょう。また、そのような候補者が大阪や近畿圏を地盤とする政治家よりも優遇しなければならないのかを橋下徹氏や松井一郎・大阪府知事は説明しなければならないはずです。
2:比例・近畿単独1位の候補を擁立した理由を維新の会は説明できるのか?
日本維新の会には「過去3回の総選挙で、上述の3候補が比例・近畿単独1位として擁立された理由」を明確にして欲しいものです。
自民党は小選挙区と重複立候補している候補者が1位になることが基本です。「選挙区が削減された影響を受ける現職」が比例単独として配慮されることが唯一の例外と言えるでしょう。
しかし、日本維新の会の判断基準は不明確なのです。
- 東国原 英夫
- 2013年12月に議員辞職
- 本人も経歴として触れず、黒歴史の扱い
- 小沢 鋭仁
- 地盤は山梨1区
- 維新 → 民進党 → 希望の党
- 2017年の総選挙では東京25区から希望の党の候補として出馬
- 森 夏枝
- 2012年総選挙は愛媛3区(惜敗率:41.8%)
- 2014年総選挙は愛媛4区(惜敗率:30.2%)
東国原氏は宮崎県知事としての知名度があり、維新の会が設立当初でしたので、比例単独1位は理解できるものです。また、方向性が違うと判断し、議員辞職したことも評価できるでしょう。ただ、“政党の判断” という点では失敗だったはずです。
小沢氏と森氏のケースは理解に苦しみます。なぜ、関西圏以外で政治活動を行っていた人物を “比例・近畿の単独1位” で優遇したのでしょうか。この説明をできないかぎり、党勢が戻ることはないと言えるでしょう。
地域の功労者でもなければ、党の創設者でもない人物に本拠地の比例単独1位という揺るぎない特権を与え続けたことに違和感を覚えた有権者が票を投じなくなっただけなのです。
維新が目指す方向性を再確認し、その実現に向けた政策を練り直すことから始めるべきと言えるのではないでしょうか。