不適格と見なされた候補者が小選挙区で落選するのは必然、日本で女性議員が増えないのは「有権者に支持される女性候補が不在」だから

 世界各国で女性議員の割合が増える中、日本では女性議員の割合が伸びず、女性の政治参加が進まない実態が浮き彫りになっていると NHK が報じています。

 この主張は「ナンセンス」と言わざるを得ないでしょう。国ごとに選挙制度が異なるため、誤差が出るのは当然です。また、マスコミが与党・自民党の女性議員に対して異様なほどにバッシングをしており、女性が議員に魅力を感じなくなる原因を作っています。

 問題点を無視し、「女性議員が増えないことは政治の問題」と語ったところで何の意味もないと言えるでしょう。

 

 世界各国の議会で女性議員の占める割合が増え続けるなか、日本は165位で、先進国の中でも最低水準にとどまっていることがわかり、女性の政治参加が進まない実態が浮き彫りになっています。

 (中略)

 G7=先進7か国ではフランスが39.7%で16位、イタリアが35.7%で30位、アメリカが23.5%で78位などとなっていて、100位台は日本だけでした。

 世界全体では1995年に11.3%だった女性議員の割合が、ことし1月時点で24.3%と倍増していて、日本では女性の政治参加が進まない実態が浮き彫りになっています。

 まず、女性議員の比率が高い国は「比例選挙」で議員を選出することが特徴の1つです。これは『比例名簿』を政党が決定できるため、男女比を調整することが可能という利点があります。

 その一方で、「名簿掲載の決定権」が党本部の利権(= 権力基盤)になりますし、政党間の連立交渉などでゴタゴタ劇が起きる要因になるデメリットも存在します。

 したがって、日本と比較するのであれば、小選挙区で議員が選出される国と比較することが重要になると言えるでしょう。

 

議会下院が小選挙区で選出されるアメリカやイギリスと比較しても、日本の女性議員の割合は低い

 議会下院の議員が小選挙区で選出される代表例はアメリカとイギリスでしょう。小選挙区比例代表並立制で衆院議員が選出される日本と比較しても女性議員の割合が多いと IPU のレポートで報告されています。

  • アメリカ(議会下院):
    • 議席数:434
    • 女性議員:102(= 23.5%)
  • イギリス(議会下院):
    • 議席数:650
    • 女性議員:208(= 32.0%)
  • 日本(衆議院):
    • 議席数:463
    • 女性議員:47(= 10.2%)

 衆院選での比例代表は「比例復活」がほとんどですから、実質的には小選挙区で選ばれていると言えるでしょう。つまり、女性議員の比率が「アメリカの半分」というのは改善点になるはずです。

 ただ、『小選挙区制』で候補者に審判を下すのは「有権者」であることを忘れてはなりません。有権者は「女性の方が多い」のですから、『女』が選挙戦で武器になるとの甘い考えは捨てる必要があるでしょう。

 

第48回衆院選(2017年)における主要政党の候補者数と当選者数

 直近に行われた総選挙での主要政党から立候補した女性候補者の人数と当選者数は総務省が発表しているデータから確認することが可能であり、それを表にしたものが以下です。

表:第48回衆院選(2017年)での候補者数と当選者数
小選挙区 比例区
候補 当選 候補 当選
自民党 257 20 203 12 288 25 58 8
公明党 9 0 8 0 39 5 17 4
希望の党 160 38 17 1 187 47 31 1
立憲民主 48 15 12 5 58 19 30 7
共産党 158 48 1 0 42 23 8 3
維新の党 43 4 3 0 48 4 7 1

 衆院・小選挙区の議席数は289。主要6政党で女性候補が制した小選挙区は20にも満たないのです。

 つまり、小選挙区で選出された女性議員の割合は 7% に満たないものです。同じ選挙方式を採用しているアメリカは 20%、イギリスは 30% の数値が示されているのですから、「有権者から支持されない女性候補」の存在に目を向ける必要があると言えるでしょう。

 

「与党・自民党が女性候補者を増やすこと」が即効性のある対策だが、マスコミが阻害要因になっている

 女性議員の数を増やしたいのであれば、当選できる可能性が高い政党から多くの女性候補が出馬することが重要です。現実的には「自民党から多くの女性が出馬すること」と言えるでしょう。

 しかし、そのために乗り越えなければならない障害が大きすぎるのです。

 具体的には「マスコミからの理不尽なバッシングに耐え続けることができるか」が問われているのです。自民党の議員は男女に関係なく、マスコミから猛烈な批判を受けます。しかも、理不尽な言いがかりも多分に含まれています。

 職場に隣接する保育所に子供を出勤時に公用車で連れて行くこともアウトです。「ベビーカーで子供を連れて行き、自分は(帰宅した後に)公用車で出勤しろ」と言われるのですから、一般企業で働く女性が国会議員を「魅力的な職業」とは考えないでしょう。

 

 そもそも、政治家という仕事が “魅力的な仕事” ではなくなっているのです。特に、政治家として実績を残すには与党議員になることが近道ですが、メディアや野党支持者からの猛バッシングを受け続けることを強いられます。

 一方で野党議員は『女』を武器に、国会内でのパフォーマンスに終始しているのですから、業務遂行能力のある人物が民間企業から受けている高待遇を捨ててまでチャレンジする価値を見出すことは例外と言えるでしょう。

 まずはマスコミが「与党・自民党の女性議員に対する理不尽なバッシング」と「野党の女性議員への問題行動のお目こぼし」を即座に止めなければなりません。それを行った上で、国会議員の待遇そのものを見直さない限り、女性の国会議員が増える見込みはないと言えるのではないでしょうか。