毎日新聞が「もんじゅからナトリウムの抜き出しはできない」とのデマを流す

 毎日新聞が11月29日付の朝刊で「もんじゅは廃炉を想定していない上、ナトリウムの抜き出しはできない」と報じていますが、これは明らかな誤報です。

画像:毎日新聞が報じたフェイクニュース

 事実とは異なる内容を報じたままで放置されていることは極めて問題だと言えるでしょう。

 

■ 毎日新聞が報じた内容

 毎日新聞は11月29日付の朝刊で次のように報じました。

画像:毎日新聞が11月29日付の朝刊で報じた記事
  • 1次冷却系のナトリウム約760トンのうち、原子炉容器内にある数百トンは抜き取れない構造
  • 原子炉容器内のナトリウムを抜き取ったことは一度もない
  • 原子炉容器内の液体ナトリウム抜き取りを想定していない
  • 炉内のナトリウムは放射能を帯びているため、人が近づいて作業をすることは難しい
  • 設計レベルで欠陥があると言わざるを得ない(小林圭二・元京都大原子炉実験所講師)

 「ナトリウムを抜き取れない構造」だと明言し、図示までしているのです。誤報と指摘された毎日新聞が「不可能とは言っていない」と逃げを打ったところで、説得力は皆無と言えるでしょう。

 

■ 事実

 毎日新聞の報道を受け、日本原子力研究開発機構は即座に反論(PDF)しています。この資料から毎日新聞が報じた内容が誤報であることは明らかなのです。

1:ナトリウムの抜き取りと設計について

 毎日新聞は「設計ミス」と批判したいようですが、これは事実関係を間違えて認識しています。なぜなら、最優先事項は「燃料が(冷却材である)ナトリウムから露出しないこと」であるからです。

画像:毎日新聞が報じた記事の誤認箇所

 「ナトリウムの抜き取り」を前提にした原子炉設計は可能です。しかし、『抜き取り口』を設置していまうと、運転・運用時に配管破損などの事故が生じた場合に(冷却材のナトリウムが流れ出て)核燃料を冷却できないという問題が発生するリスクがあるのです。

 福島第一原発の事故も「冷却する術を失ったこと」が決定打でした。したがって、運転中にナトリウムを抜き取るなどということは絶対にあってはならないことなのです。そのため、燃料を冷却できなくなる要因は1つでも少なくしておく設計は正しいと言えるものなのです。

 

2:ナトリウムの抜き取りは技術的に可能

 次に、冷却用ナトリウムの抜き取りは技術的に可能です。

  • 毎日新聞の主張
    • 760トンのうち、200〜300 トンのナトリウムは抜き取れない
  • 日本原子力研究開発機構の説明
    • メンテ用の入口配管を活用することで約1㎥まで抜き取り可能
    • また、残留分も技術的に抜き取れる

 両者の見解が真っ向から対立しているように見えますが、説得力があるのは日本原子力研究開発機構の方です。その理由は過去の毎日新聞が報じた記事にあるからです。

 毎日新聞は2016年12月に「フランスの高速増殖炉(実証炉)での廃炉作業」を取り上げた記事を紹介しています。『もんじゅ』と同じ立場にあった実証炉の廃炉作業が技術的に不可能であるなら、このような記事は出ないはずです。

 そのため、毎日新聞が報じた『もんじゅ』に対する記事はかなり偏った内容になっていると言わざるを得ません。

 

3:もんじゅ炉内のナトリウムの放射線も問題ないレベル

 毎日新聞は「人が近づいて作業できない」と報じていますが、これも否定されています。

 「2014年の時点で 16Bq/g(原子炉容器室壁表面の線量率に概算すると約 0.25μSv/h)」と説明されている訳ですから、毎日新聞の主張は間違っていると言えるでしょう。

 『反原発』という結論に合致させるために適当につなぎ合わせた記事でデマを振りまく毎日新聞の責任は極めて重いと言わなければならないのではないでしょうか。