財務省次官のセクハラ疑惑:自社の女性記者に対するセクハラが明らかになったテレビ朝日の責任も追求しなければならない

 「財務省次官から記者がセクハラを受けた」と週刊新潮が報じた件で、テレビ朝日が「自社の社員が被害に遭っていた」と発表し、会見を行いました。

 ただ、会見は19日の午前0時に行われた上、テレビ朝日が自社の女性記者に対するセクハラを行っていた実態が明るみに出る結果となりました。少なくとも、セクハラ行為が確定となったテレビ朝日の責任は追求する必要があるでしょう。

 セクハラを否定している財務省次官を批判することは「司法での判断」や「財務省での調査・処分」などを現時点では待つべきです。

 

テレビ朝日が19日午前0時に行った会見で発表した内容

 テレビ朝日が行った記者会見で明らかになったのは以下の内容です。

  • 女性記者は約1年半前(2016年11月頃)から、1対1で取材目的の会食を複数回していた
  • 会食の都度、セクハラ発言があったので自らの身を守るために録音を始めた
  • 会社にセクハラの相談が行われた時期や回数は答えられない
  • 今月4日以降に女性記者がセクハラを報じようとしたが、上司が見合わせる決断をした
  • 週刊新潮に録音データを渡したのは女性記者自身
  • 録音データは2016年の物も出している

 説明が部分的との印象が残るのは、テレビ朝日が “都合の悪いこと” を隠蔽しているからでしょう。セクハラ被害を訴えた社員への対応をテレビ朝日は間違った訳ですから、組織として問題があることは否定できません。

 また、該当の女性記者もセクハラ告発の「正当な手続き」を経ていないため、“返り血” を浴びることは避けられないでしょう。

 

“セクハラ被害に遭った社員” への適切な対処をしなかったテレビ朝日

 まず、テレビ朝日は“セクハラ被害を訴える社員” への対処を誤りました。

 女性記者から「セクハラ発言がある」との相談が録音を始めた前後にあったことでしょう。その際、適切な対応を採ることできていなかった可能性が濃厚なのです。

  1. 財務省向けに「セクハラ被害を訴える声があり、綱紀粛正を求めたい」と抗議
  2. 被害を受けた記者に配置転換を打診

 少なくとも、テレビ朝日は上記2点を実施済みであることが必須です。しかし、テレビ朝日は被害を受けた(とされる)女性記者を組織として守っている様子はありません。

 また、女性記者からの「報道すべき」との意見に「いきなり報道はできない。まずは抗議からだ」と反論して行動を起こしたのではなく、「握り潰す」との結論を下したのです。泣き寝入りを強いるのは明らかなセクハラであり、大きな批判を受けるべき行為と言えるでしょう。

 

テレビ朝日の女性記者の行動にも疑問点がある

 この女性記者は2016年11月頃から『番記者』として張り付いていたようですが、次官に昇進したのは2017年7月の人事でです。

 次官候補の1人に『番記者』を付けるのがマスコミでは一般的なのでしょうか。次期次官候補とのパイプ作りに成功すれば、他社よりも早く情報をもらえて “特ダネ” が出せる訳ですから、仕事目的で接近した可能性は批判できない状況なのです。

 また、セクハラ告発の順番も問題です。所属組織(=テレビ朝日)が対処に乗り気でないから、次は「都道府県労働局」です。その後に「本人(や Metoo 運動)」や「週刊誌」という位置づけなのです。

 もちろん、順番を無視することはできます。その代償は「守れるものも守れなくなる」という現実がある訳ですから、この女性記者が何らかの不利益を被ることになっても自業自得と言えるでしょう。

 

 財務省次官のセクハラ疑惑によって、「 “女” を使った仕事を強要されていたのではないか」という疑惑も浮き彫りになったのです。

 「美人に甘いオッさん」がいれば、「イケメンに甘いオバさん」もいるのです。そのような人物と1対1での会食を行って情報を得ることが常態化しているマスコミの取材姿勢が問題の根幹にあると言えるでしょう。

 同様の問題は新規参入の乏しい “伝統的な業種” で蔓延している可能性が高いと思われます。他山の石として変化することができるかで今後の行方に大きな影響が出ると言えるのではないでしょうか。