維新と希望が「高プロ制度の修正提案」を与党に行い、『働き方改革』の内容向上で結果を残す

 NHK によりますと、『働き方改革』の審議が進行する中で与党(自民・公明)と維新の会・希望の党が修正協議を行ったとのことです。

画像:修正協議を行う与野党4党(自民・公明・維新・希望)

 「法案の問題点」として指摘されていた箇所を法案修正という形で成果を出したことは高く評価されるべきです。野党として “真っ当な政治” を遂行しているのはと維新の会と希望の党の2党だけと言えるでしょう。

 

 衆議院で審議されている働き方改革関連法案をめぐり、自民・公明両党と日本維新の会、それに希望の党は、21日午前、国会内で実務者による修正協議を行いました。

 そして、高収入の一部専門職を対象に、働いた時間ではなく成果で評価するとして労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度」について、対象になった労働者が、その後、制度から離脱することも可能だと明確にする修正を行うことで大筋合意しました。

 世の中に「完璧な法律」はありません。どの法律にも必ず懸念がついて回ります。

 その懸念点を1つ解消するだけでも大変な労力を必要とするのです。これを法案の段階で与党との修正協議を行い、結果を残したことは大きな成果と言えるでしょう。

 

高プロ導入と解除権

 批判の声もある『高度プロフェッショナル制度』ですが、経営側の一存で導入することはできません。「経営側と労働者側の半々でつくる労使委員会での5分の4以上の賛成と、労働者本人の同意が必要」なのです。

 また、「年104日以上かつ4週間を通じて4日以上の休日確保」が義務づけられていると公明党が紹介しています。勤務時間が一定値を超えると医師による面接指導を受けることも求められており、導入に向けた配慮はされていると言えるでしょう。

 ただ、高プロ制度の適用者が「制度から外れる根拠」が乏しい状況でした。

 労働者自身が合意して高プロ制度の対象となったが、数年後に対象者から外れたいと思った際に「元の雇用体系に戻れる保証」があるのとないのでは状況が大きく異なります。

 そのため、法的根拠を明記するという “成果” を残した『維新の会』と『希望の党』の働きぶりは高く評価されるべきと言えるでしょう。

 

「目標達成により多くの時間を要する賃金労働者の稼ぎが最大となる」という制度が問題の根幹

 『働き方改革』が国会で議論されている理由は現行の賃金体系による “歪み” が生じているからです。

 問題となっているのは「賃金労働者」でしょう。労働者の能力が同等であれば、時間給をベースにした賃金体系で問題が生じることはありません。

 ところが、労働者の能力に差が存在する場合、時間給がベースとなった賃金体系では問題が起きるのです。

仕事量 報酬
理想 100 100

従業員A 100 120
従業員B 120 100

 なぜなら、ノルマ(=目標)を達成するためにできるだけ時間を要した方がより多くの報酬を得られるからです。これでは労働生産性が上がることはありません。

 「残業代狙い」で勤務時間内はダラダラ仕事をし、毎日 2〜3 時間残業して報酬増を狙う “タイプAの従業員” が問題なのです。しわ寄せは若手・中堅社員に回される訳ですから、ブラック体質が企業に蔓延する要因を作り出しているのです。

 

 成果給が当たり前の賃金体系に変化しても、若手・中堅が困ることはないでしょう。なぜなら、彼らの場合は「仕事量に対する報酬が低く抑えられている」ケースがほとんどだからです。

 逆に、高給取りの中高年社員は「仕事量で得ている報酬」を成果によってシビアに査定されることになる訳ですから、反発する声を上げているのです。

 “お荷物社員” の解雇ができないため、仕事は能力の持った社員に回さざるを得ません。「成果給に加え、適任能力を持たない社員の金銭解雇を可能にすること」が本当の意味での『働き方改革』と言えるのではないでしょうか。