玉木雄一郎議員(国民民主党)が要求する『最低賃金以下での労働の合法化』は「労働者の所得を減少させる政策」である

 国民民主党の玉木雄一郎議員が自身のツイッターで「最低賃金以下でも働くことが可能となる労働法制の特例も必要」と主張しています。

 この主張は勤労者にとって大きな問題となるでしょう。なぜなら、安い賃金で労働する人材が市場に流入するため、全体の給与水準が引き下げられる結果を招くからです。

 野党(や安倍政権でさえも)が実行しようとしている『最低賃金の引き上げ』の目的に真っ向から反対する政策であり、方向性を間違っているとしか言わざるを得ません。

 

玉木雄一郎議員のツイート内容

 玉木議員は自身のツイッターアカウントで以下の投稿を行いました。

画像:玉木雄一郎議員によるツイート

 AI時代、採用時の学歴、年齢、性別による差別禁止は当然。それと人生100年時代、これからは定年制の撤廃も不可避だ。私は高齢者就労を応援したい。そのためには、本人の同意など一定の条件の下、最低賃金以下でも働けるような労働法制の特例も必要だと考える。

 この主張には様々な問題があるため、賛成することはできません。中でも「高齢者就労の目的で最低賃金以下の労働を容認する」という政策は『賃金のダンピング』を招き、労働者全体の不利益となるからです。

 

最低賃金以下でも経済的に困らない高齢者は存在するが、労働市場全体へのデメリットが大きすぎる

 玉木議員が主張する政策で厄介なのは「賛同する高齢者」が一定の割合で出てくることでしょう。

  • 高齢の労働者
    • 「就労先が得られる」というメリットを享受
    • 『年金』での埋め合わせがあるため、最低賃金以下でもトータルの収入は維持される
  • 高齢者以外の一般労働者
    • “安い賃金で働く高齢者” に仕事を奪われる
    • それにより、給与水準が引き下がる結果を招く

 『年金』を得ることができる高齢者は最低賃金以下の報酬でも気にしないでしょう。“暇な時間” を消化できる上、自らの労働力を安価で提供することで「社会に奉仕・恩返しをしている」との快感も得られるからです。

 ところが、それをやられてしまうと、年金での給与補填ができない一般労働者が割を食う結果となるのです。このデメリットがある以上、最低賃金以下での労働は “特例” の形であっても、認めるべきではありません。

 

『正当な価格水準』に基づく給与の支払いを徹底させ、「貰いすぎ」と感じた際は『寄付』を行う文化を根付かせるべき

 では、どうすべきかと言いますと、労働者に対しては『正当な価格水準』に基づく給与を支払うのです。

 受け取りを固辞する高齢者も現れることが予想されますが、『正当な価格水準』を維持するために絶対に受け取らせなければなりません。これは「貰いすぎ」と感じているから、謙遜しているだけでしょう。

 雇用者側は市場価格に基づく賃金を支払わなければならないですし、その額が「多すぎる」と労働者側が感じたのであれば、個別に『寄付』を行うことが当たり前となる文化を根付かせることに注力すべきなのです。

 「本来の給与額より低い水準で満足する」という行為は雇用者側に『寄付』をしていることと変わりません。つまり、高齢の労働者が『本来の給与額』を満額受け取った上で、個別に雇用者側が行っている社会貢献活動に『寄付』をしても金銭の動きはほぼ同じことになります。

 ただ、この場合は “最低賃金や単価を下回る価格で働く高齢者” が市場から消え去るため、他の労働者へのしわ寄せを制限できます。また、様々な社会貢献活動を行っている団体も存在を世間に知られることで、高齢労働者からの『寄付』を期待できるようにもなるのです。

 

 ごく一部の雇用者だけが恩恵を受ける結果になってしまう国民民主党の玉木雄一郎議員が提案する『最低賃金以下での労働の合法化』は反対の声によって内容が修正されるべきと言えるのではないでしょうか、