「トランプ政権がファーウェイ(HUAWEI)製品の使用自粛を要請」との報道 ソフトバンクにとって逆風となるのでは?
「トランプ政権が中国のファーウェイ(HUAWEI, 華為技術)製品の使用自粛を同盟国に対して要請した」と WSJ が伝えたと NHK が取り上げています。
アメリカの同盟国の官公庁や軍隊が使用自粛要請の対象と言えるでしょう。ただ、ファーウェイと関係が深いソフトバンクにとっては逆風の原因になる恐れがあると考えられます。
アメリカの有力紙、ウォール・ストリート・ジャーナルは22日トランプ政権が日本やドイツ、イタリアといった同盟国に対して、中国の「ファーウェイ」の通信機器を使わないよう求めていると伝えました。
そのうえで、こうした通信機器を使わない国には通信技術の開発に向けた財政支援を増やすことも検討しているとしています。
トランプ政権としてはサイバー攻撃による安全保障上のリスクなどから、アメリカ軍の基地が置かれている国で、この中国メーカーの通信機器が使用されていることに懸念を持っているということです。
『サイバー攻撃を仕掛けて来る恐れがある国と関わりが強い企業の製品』が排除されるのは自然な流れ
トランプ政権が「スパイ行為」や「サイバー攻撃」に手を染める中国共産党と関連が強い企業の製品を野放しにするつもりはないでしょう。なぜなら、アメリカ国民を危険にさらし、利益を損ねることに直結するからです。
特に、ネットワークの経路上に “スパイ行為を働く疑いのある機器” を設置してしまうと、重要情報を盗み取られてしまう恐れがあります。そのため、安全保障に直結する分野で中国製品の排除が求められているのです。
安全保障の分野では「同盟国の共同作戦と展開すること」が一般的になっています。その際、作戦を共有するために情報交換を行う必要が生じるのですが、この時に情報を盗まれてしまうと作戦が相手に筒抜けになり、大きな損害を被る原因になる恐れがあります。
これを防ぐためには「自国の情報管理水準を同盟国にも求めること」が最も現実的な選択肢となります。トランプ政権からの “要請” は妥当なものと言えるでしょう。
ファーウェイ(HUAWEI, 華為技術)と 5G の共同研究を行うソフトバンク
アメリカが排除に乗り出している『ファーウェイ(HUAWEI, 華為技術)製品』ですが、日本ではソフトバンクが 5G の共同開発に乗り出しています。
5G は複雑さが増すため、脆弱になる恐れが指摘されています。そのため、ファーウェイのネットワーク機器やスマートフォンが排除の対象となっているのですが、ソフトバンクは次世代ネットワーク機器の開発をファーウェイと行っているのです。
このことはソフトバンクにとって、逆風の原因になる可能性があると言えるでしょう。
ソフトバンクは「アメリカ当局からのスプリントと T-Mobile の合併承認」を待っている状態
ソフトバンクはアメリカの携帯通信会社スプリントを傘下に持っているものの、経営が上手く行っておらず、T-Mobile との合併を発表いたしました。ただ、現在は「アメリカ当局からの承認」を待っている状況であり、これに対する逆風が強くなる恐れがあります。
合併するメリットが「5G への投資が進む」と述べていますが、スプリント社の親会社であるソフトバンクはファーウェイと 5G の共同開発を行っているのです。
『4社が3社になる合併』が承認され、その内の1社に「ファーウェイ製品をネットワークに組み込んでいる可能性」があるのです。この事実がソフトバンクに対する逆風の1つとなり、合併の承認が下りないことはあり得ると言えるでしょう。
そのため、ソフトバンクは難しい判断を迫られる恐れがあります。「公共の財産である “電波” を独占的に使う権利を当局を通して獲得すること」がビジネスの根幹部分であるだけに当局と喧嘩をすることは得策ではないからです。
監視カメラやネットワーク危機を販売する企業なら、中国との関係を優先する意味はあります。(新疆ウイグル自治区は街ごと監視対象だから)
ただ、“日本の” 携帯通信会社であるソフトバンクにはそうしたビジネスで収益を上げることはできません。中国との関係見直しの機運が出ている中で、孫社長がどのような経営手腕を見せるのかが注目点と言えるのではないでしょうか。