韓国側で提唱された『徴用工基金』を韓国政府が否定したことに対し、共同通信が「日本の要求が満たされぬ公算」とデマを流す

 自称・元徴用工への賠償を韓国の大法院が命じた件で、基金設立の構想を韓国・大統領府が否定したことで「日本の要求が満たされない可能性が高くなった」と共同通信が報じています。

 ただ、日本政府が『基金設立』を要求したことはなく、基金設立を提示しているのは韓国メディアや識者です。その事実を歪曲して報じる共同通信の姿勢は問題と言わざるを得ないでしょう。

 

■ 共同通信が報じた内容

 共同通信は1月26日付の記事で次のように報じました。

画像:共同通信が報じた記事

 日本企業への賠償命令が確定した元徴用工訴訟を巡り、解決策の一案として挙げられている韓国政府と日韓両国の企業による基金設置構想について、韓国大統領府の金宜謙報道官は26日、「政府と韓日両国の企業が参加する基金という発想自体が非常識だ」とし、否定的な考えを示した。

 日本政府は元徴用工問題について1965年の日韓請求権協定で解決済みとの立場で、「韓国国内での決着」を求めてきた。基金設置は日本政府が受け入れ可能な解決案とみられていたが、大統領府が否定的な考えを示したことで、日本政府の要求を満たさない可能性が高くなった。

 『徴用工基金』は “韓国メディア” が提唱し、朝日新聞などの親韓派も「基金設立による解決」の流れを作りたいという思惑がありました。

 そのため、共同通信が報じた記事の中には事実と異なる部分があり、歪曲記事で世論をミスリードしようとしていると言わざるを得ないでしょう。

 

■ 事実

1:日本政府の姿勢は「日韓基本条約で解決済み、韓国政府は判決への見解を示せ」

 まず、徴用工裁判に対する日本政府の姿勢は以下の2点です。

  1. 請求権は『日韓基本条約』で解決済み
    → 賠償判決には応じられない(= 韓国の国内問題)
  2. 韓国政府は大法院の判決に対する立場を明確にせよ

 日本政府は「日韓基本条約で解決済み」との姿勢を示し、韓国政府に「大法院の判決を受けての立場表明」を要求しています。これは韓国政府の対応によって “今後の日本政府の対応” が変わってくるからです。

 差し押さえに踏み切るなら、「調停委員会の設置」や「国際司法裁判所への提訴」などを行う必要があるからです。しかし、韓国政府は判決が出てから約3ヶ月に渡って事実上の “ゼロ回答” を続けているのです。

 これが前提にあることを認識する必要があるでしょう。

 

2:『徴用工基金』の構想は大法院判決が出た直後から韓国メディアが提唱していた

 韓国・大統領府が「発想自体が非常識」と一刀両断にした『徴用工基金』ですが、提唱したのは韓国メディアであり、大法院の判決が出て間もない時期から提唱されていました。

 『2+2(韓国政府と韓国企業+日本政府と日本企業)』を基本形として構想が語られるも、日本政府は日韓基本条約を理由に支払いに消極的です。そのため、「日本政府を除いた『2+1(韓国政府と韓国企業+日本企業)』なら、可能性はあるだろう」と “韓国側が” 希望的観測を流していたに過ぎません。

 なぜなら、ムン・ジェイン政権は『慰安婦基金』を解散させているのです。

 基金そのものが無意味ですし、『日本側が参加する形での基金』という発想自体が “日本の要求” を満たしていないのです。「韓国の国内問題」であり、その請求書を日本に回そうとする韓国の姿勢が問題と言えるでしょう。

 

 基金設立は “韓国が” 提案できる『唯一の解決策』と言える状況でした。「徴用工問題は韓国の国内問題であり、日本に賠償義務はない」というのが日本政府の立場なのです。

 「日本側が提案した『徴用工基金』を韓国・大統領府が否定した」との誤解を招く共同通信の記事はフェイクニュースと言わざるを得ないものでしょう。歪曲記事は厳しい批判を受けるべきだと言えるのではないでしょうか。