意図的な不適切行為を撮影・公開すれば、損害賠償を請求されるのは当然のこと。許せば正直者がバカを見る結果となる

 大手回転寿司チェーンの『くら寿司』で不適切行為を取る従業員の様子が撮影・公開された件に対し、会社側がプレスリリース(PDF)で法的措置の準備に入ったと発表いたしました。

 一部から「バイトの従業員に賠償請求すべきではない」との擁護の声が出ていますが、その必要はありません。なぜなら、『くら寿司』がこれまで多くの時間やコストをかけて培ってきた “信頼” が損ねられたのです。

 賠償請求をしなければ、バカなバイトの行為によって被った損害は『くら寿司』で真面目に働いている他の従業員が負担することを強いられるのです。法律に則って損害分を賠償させなければ、正直者がバカを見る結果になってしまうことでしょう。

 

くら寿司守口店における不適切行動をとった従業員2名について

 

 2月8日をもって雇用契約を終了し、退職処分としたと同時に、刑事、民事での法的措置の準備に入ったことをご報告いたします。

 (中略)

 2.多発する飲食店での不適切行為とその様子を撮影した SNS の投稿に対し、当社が一石を投じ、全国で起こる同様の事件の再発防止につなげ、抑止力とする為。

 くら寿司の対応は至極真っ当なものと言えるでしょう。なぜなら、投稿された動画は「食材をゴミ箱に捨て、それをまな板に戻す」というもので、衛生面で大きな問題があります。

 そもそも論で言えば、該当の従業員は社会常識すら疑われる状況です。そうした人物らが起こした問題行為による損失を規則に従い、自らの責任を果たしている他の従業員が肩代わりすることはおかしいと言えるはずです。

 

“正社員の監督者” がいれば問題は起きなかったかもしれないが、監督責任者を常駐させるのは非現実的

 「一部従業員による不祥事」は様々な業種で起きていることでしょう。飲食店は「商品である食材を粗末にする行為」が SNS にアップされ、問題となっていました。

 おそらく、現場に正社員の立場にある監督者がいれば、その時に問題が発生する確率は極めて低くなっていたはずです。ただ、監督責任者を現場に常駐させることは非現実的ですし、監督者の死角を “悪さ” をされてしまうと、気付きようがありません。

 したがって、現実を無視した原因論や対策論にはあまり意味がないのです。

 動機については「悪ふざけ」や「ストレス発散」が考えられますが、何が動機だったしても、免罪の理由にはなり得ないでしょう。なぜなら、自分たちの行為が重大な犯罪行為であるとの認識が欠如している可能性が高く、問題が発覚しても「せいぜいクビになる程度」と甘く見ている節があるからです。

 

バイトテロを擁護する人は「会社が損害を受ければ、従業員や取引先企業にも悪影響が生じる」との認識が欠如しているのでは?

 会社側が従業員に賠償請求を行おうとしている件ですが、一部からは「個人を訴えるべきではない」と擁護する声が出ています。しかし、これも現実から目を背けた擁護論と言わざるを得ません。

 飲食業で「不衛生な食材を提供している」との証拠動画が流れれば、大きなマイナスイメージを被ることになります。それは会社の損害となり、場合によっては経営が行き詰まることになるでしょう。

 その結果、会社で真面目に働く従業員の仕事や生活に悪影響が出る恐れがありますし、経営者は赤字による事業閉鎖のリスクを背負わされることになります。また、影響は取引先企業にも波及することが予想されます。

 ですが、“バイトテロ” を行った従業員は会社側から賠償請求されなければ、何のリスクもないのです。「企業は個人を訴えるべきではない」との擁護論に耳を傾けると、真面目に働いて自らの役割を全うしている他の従業員が貧乏くじを引く結果となるのです。

 「真面目に働いている他の従業員の仕事や生活が守られない状況の方がおかしい」と言わざるを得ないでしょう。

 

「悪事の証拠」を世間に公表すれば、責任を問われるのは法治国家として当然である

 世間一般からの顰蹙を買う行為をする人物がいるのは今に始まったことではありません。そういう “輩” は昔からいたでしょう。また、自らの悪行を自慢する者も昔からいたはずです。

 ただ、行為を立証する証拠がなく、“都市伝説” として「推測の域」を出ない噂話で終わることがほとんどでした。

 ところが、スマートフォンを持つことが当たり前となった現代では「動画」という形で悪事の証拠が世間に知れ渡ることが当たり前になったのです。犯行の証拠が存在するなら、罪に問われるのは当然です。“お目こぼし” にすることの方が問題と言えるでしょう。

 法律に基づき、損害を償わせるのは当然です。問題行為を起こした人物に甘い対応をすれば、それが “武勇伝” となり、模倣犯を発生させる要因となります。越えてはいけない一線を平気で越える人物を甘やかす意味はないのです。

 

 賠償金を割引する意味もありませんし、そのように訴える人がいるなら、賠償金を一部肩代わりすることを申し出ることが筋でしょう。もしくは問題行為を起こした当事者を自分が所属する組織で雇用して、賠償金の足しにすべきです。

 悪事の証拠が存在しなかったため、“逃げ切り” ができた過去と決別することが重要なのです。違法行為に手を染めたのであれば、法に基づく裁きを受けることは当然と言えるのではないでしょうか。