朝日新聞・小森敦司記者、「太陽光発電は九州で800万kW以上もあるから原発は不要」と虚偽内容をツイート
朝日新聞の小森敦司記者が「太陽光発電は800万kW以上もあるから、原子力発電所は不要」との虚偽の内容が含まれたツイートを行っています。
これを “経済部の記者” でエネルギー関係の記事を書いている小森氏がツイートしていることが致命的と言わざるを得ないでしょう。なぜなら、朝日新聞のエネルギー関連の記事は「専門的な知識を有しているはずの記者が書いても “この程度” ということになってしまう」からです。
小森敦司記者のツイート内容
小森氏は「九州電力が玄界原発2号機を廃炉にする」と朝日新聞が報じた記事に対し、次のような私見をツイートしました。
九州にはすでに太陽光発電設備が800万キロワット以上もある。のみならず、もっともっと入れられるのだ。もう、老朽原発を動かす余地はない。はっきりした。自然エネルギーが原発を凌駕していく。
このツイートには典型的な『反原発デマ』が含まれています。それを認識できていないなら記者として実力不足ですし、認識した上で記事をかいているなら記者失格と言わざるを得ないでしょう。
『電力供給』を議題にする際、瞬間出力の単位である kW (キロワット)を持ち出すことは無意味
反原発派が良く持ち出す主張は「太陽光発電の設備が 〇〇万kW あり、原発〇基分に相当する」というものです。この主張は正しいように見えますが、根本的な欠陥があるのです。
kW (= キロワット)が示すのは「設備容量」であり、電力供給を議題にした際に用いる値としては不適切です。なぜなら、実際の電力供給には「稼働率」を考慮する必要があるからです。
- 設備容量:
- 発電所の最大発電可能値
→ 瞬間の出力 - 単位は kW (キロワット)
- 発電所の最大発電可能値
- 設備利用率:
- 発電所の稼働率を加味した値
→ 継続した出力 - 単位は kWh (キロワット時)
- 発電所の稼働率を加味した値
小森氏などが持ち上げている太陽光発電は設備利用率が悪く、kWh に換算すると「非常に低い値」になるのです。電力供給を議題にするのであれば、瞬間的な最大可能出力値を示す kW を使うことは誤りです。
また、太陽光発電や風力発電の設備利用率は 15% 前後になりますが、安定して 15% の稼働が見込める訳ではありません。大きな波がある “不安定な電源” であり、主力電源には到底なり得ない電源なのです。
九州電力管内での太陽光発電の実績値を反原発派は確認しなければならない
では、九州電力管内の電力使用状況を確認することにしましょう。下図は2019年2月15日(金)の実績値です。
小森氏が主張する「太陽光発電設備が 800万kW 以上ある」には何の意味もありません。なぜなら、太陽光発電がカバーした最大値は10時から11時までの 100万kW 強で、全体の 10% にも満たない数値だからです。
また、需要のピークを迎える「夕方から夜の時間帯」には発電できないという欠点を抱えています。その上、需要と供給のバランスを維持する役割は火力発電に “丸投げ” しているのですから、お荷物として嫌悪感を抱かれるのは止むを得ないと言えるでしょう。
太陽光発電が原発を凌駕するのであれば、ベースロード電源として「安価で安定した発電量を維持」するはずです。しかし、そうした発電実績は皆無なのです。もし、実績が例え1日でも存在するなら、反原発派がそれを「証拠」として大々的に宣伝しているはずだからです。
マスコミが得意とする『切り取り報道』の技術を駆使しても、太陽光の発電実績をベースロード電源に見せることはできない状況なのです。そのため、瞬間的な出力可能値である kW を意図的に混同し、使える電源のように印象操作を積極的に行っていると考えられます。
電力供給のことを何も理解できていないのは “経済部でエネルギー関連の記事を書く” 小森敦司記者の方でしょう。朝日新聞が部数減少に歯止めをかけられない理由は「専門性を持っているはずの記者が書く内容でさえ、事実と大きくかけ離れているから」と言えるのではないでしょうか。