不法残留をした人物が強制送還とならない状況で、「不法就労の防止」を雇用者側に訴えるだけでは効果は少ないだろう

 警視庁などが不法就労防止を呼びかける街頭キャンペーンを行ったと日本テレビが伝えています。

 毎年6月上旬に行っていますが、キャンペーンはアリバイ作り程度に留まっていると言わざるを得ないでしょう。なぜなら、不法残留への対処は甘い状況であり、不法就労の受け皿をなくすキャンペーンだけでは不十分だからです。

 

 警視庁などは3日、不法就労防止を呼びかける街頭キャンペーンを実施した。

 (中略)

 法務省によると、外国人観光客の増加に伴い日本に不法残留する外国人も5年連続で増えていて、今年1月時点で約7万4000人にのぼるという。

 警視庁は、「事業主側の認識不足が、外国人の不法就労を誘発している」とした上で、「不法就労の受け皿をなくしていきたい」としている。

 

「就労が認められない人物」を雇用することは雇用者側の責任

 就労が認められないビザを持つ人物を雇用した責任は雇用者側も負うべきでしょう。留学生を法に違反する形で働かせた場合は双方が共に罰せられるべき案件だからです。

 しかし、不正が発覚しても罰則が軽いと違法行為に手を染める事業者が後を絶たないことは容易に想像できます。ただ、就労ビザの偽造など手が込んだ手法を用いられた場合、零細企業が不正を見破ることは困難です。

 この場合は「雇用者側が手順に沿った確認をしていたなら、雇用者への厳罰は回避」とし、「就労ビザの偽造を行った外国人は強制送還の上、再入国禁止」との厳しい処分を下すべきです。

 街頭でチラシを配布したところで、法の執行がなければ効果は一時的です。「仕事をしてますアピール」になるかもしれませんが、キャンペーンを展開する側の自己満足に過ぎないと言えるでしょう。

 

「入管収容中の不法残留者の仮釈放」を好意的に報じる左派メディアがあるのだから、不法残留は今後も増え続けるだろう

 不法就労と不法残留が密接に結びついていることは自明です。生活のためには資金が必要であり、不法残留を続けるには不法就労などで生活費を調達し続ける必要があるからです。

 そのため、不法就労に厳しい意識が向くことで、不法残留者が日本国内で生活費を調達することは難しくなるでしょう。

 ですが、これは「就労」を選択した場合のケースです。現実には不法滞在が発覚し、強制送還となったにもかかわらず、それを拒否して入管に収容されている外国人が多数存在します。

 しかも、人権派が「家族と離れ離れになるのはおかしい。入管に収容されている外国人を仮釈放しろ」と要求する有様です。国外退去どころか、違法残留をしても肩で風を切って街中を堂々と闊歩できるように支援活動をしてくれる “人道派” が騒ぎ続ける限り、不法就労の減少は期待できないでしょう。

 

 日本に滞在する多くの外国人は取得したビザで制限された範囲内でルールを守って日々の生活を送っています。彼らの評価が一部の不届きな外国人によって不当に下げられる事態は「あってはならないこと」ですし、そういう状況が起き得る現状は是正する必要があります。

 「日本では外国人はルールを守らなくても許される」との誤解を招くことは社会に不満を発生させる原因であり、マイナス効果をもたらすだけです。

 そうした状況を防ぐためには「ルールを守らない者は国籍に関係なく、法で定められた罰則を受ける」との原則が重要なのです。「事勿れ主義に基づく “大人の対応” は国際化が進んだ現代では貧乏くじを引くだけである」と認識を改める必要があると言えるのではないでしょうか。