中島翔哉が半年でポルトガルに復帰、名門ポルトと2024年までの契約を締結

 2019年1月の移籍市場でカタールのアル・ドゥハイルに移籍したサッカー日本代表の中島翔哉選手がポルト(ポルトガル)に加入したと発表されました。移籍金の面がネックになると思われていただけにサプライズと言えるでしょう。

 

ポルトが使用した『錬金術』

 ポルトが中島選手を獲得する上で最大の懸念事項となっていたのは「アル・ドゥハイルが獲得に3500万ユーロを費やしていたこと」でしょう。それにより、獲得のハードルが上がってしまっていたからです。

 この状況に対し、ポルトは「共同保有」という形で選手を獲得したと地元メディアが報じています。なぜなら、両クラブが収益を得ることが可能になるからです。

表2:中島選手の移籍形態
アル・ドゥハイル ポルト
1月 3500万ユーロで獲得
(保有権:100%)
7月 1200万ユーロ分を売却
(保有権:60%)
1200万ユーロ分を獲得
(保有権:40%)
将来 ポルトの契約解除金(= 8000万ユーロ)が行使される
4800万ユーロを獲得
(移籍金の 60% 分)
3200万ユーロを獲得
(移籍金の 40% 分)
収支予想 2500万ユーロの儲け 2000万ユーロの儲け

 「中島選手がポルトからステップアップ」をすることで、ポルトとアル・ドゥハイルは移籍金を “山分け” することができます。この点で両クラブが合意に達したから、中島選手の半年でのポルトガル復帰が決まったと言えるでしょう。

 

ブラヒミ選手の後任として白羽の矢が立った

 中島選手の獲得にポルトが熱心だった理由は「左サイドで攻撃を担当していたアルジェリア代表のブラヒミ選手が契約満了で今夏で退団したから」です。

 ブラヒミ選手は左サイドを主戦場にドリブルで突破することが持ち味の主力選手でした。この選手が抜けるのですから、後任選手を獲得することは必要不可欠です。

 後任選手は「ブラヒミ選手と同じ能力を持った選手」が理想です。なぜなら、この場合は「チームのフォーメーションを修正する必要性を極力少なくできる」というメリットがあるからです。

 したがって、中島選手がポルトの戦術システムに速やかに適応すれば、ポルティモネンセ時代と同様に “チームに欠かせない攻撃の大黒柱” になることは時間の問題と言えるでしょう。

 

8月上旬から始まるチャンピオンズリーグ予備予選で存在感を発揮できるかが注目点

 ポルトは前年度のリーグ戦を2位で終えたたため、チャンピオンズリーグは予選3回戦からの出場になります。

 8月上旬に組まれた予選3回戦を突破し、8月下旬のプレーオフに勝利すると、ポルトはチャンピオンズリーグ本戦の出場権を獲得します。リーグ戦も開幕していますから、出場した試合で存在感を発揮できるかが注目点でしょう。

 ポルトからはファルカオ、ハメス・ロドリゲス、フッキ、ジャクソン・マルティネスなど、“移籍金バブル” が発生する前の時代で4000万ユーロ級の選手売却が行われています。

 チャンピオンズリーグでビッグクラブを相手に攻撃能力を示すことができれば、8月に25歳になる中島選手に設定された契約解除金を満額支払うクラブが現れても不思議ではありません。

 

 中島選手が今度はポルトからヨーロッパのビッグクラブにステップアップするような活躍を見せることができるのかが最大の注目点と言えるのではないでしょうか。