「高齢者の医療費自己負担を1割から倍にする安倍政権」と枝野代表が批判する中、立憲民主党は自己負担3割の若者に「選挙に行こう」と呼びかける
立憲民主党の枝野代表が街頭演説で「安倍政権が後期高齢者の医療費自己負担を1割から倍増させようとしている。必要なのは逆だ」と述べたと朝日新聞が報じています。
高齢者を “票田” とする立憲民主党が主張する内容としては正しいと言えるでしょう。
ただ、この政策は若者を含む現役世代いじめに他なりません。保険料を払うのは現役世代であり、現役世代は3割の自己負担もしています。
にもかかわらず、立憲民主党は「若い人たちへ。これでも選挙に行きませんか」と煽っているのです。「党の方針がぶれている」と言わざるを得ないでしょう。
後期高齢者の皆さんの医療費の自己負担を、今の1割(負担)から、倍にするっていっている。そして、介護の自己負担も倍に増やすっていっている。今必要なことの逆じゃないですか。
枝野代表は「後期高齢者に無料で医療を受けさせろ」と主張していると言って問題ないでしょう。
医療費は現役世代の保険加入者が支払った保険料で大部分が賄われています。現役世代は3割の自己負担ですが、後期高齢者は1割負担です。
同じ医療サービスを受けるにもかかわらず、同じ負担ではないのです。現状でも不公平な状況ですが、枝野代表は「後期高齢者を現状よりもさらに優遇しろ」と訴えているです。これでは現役世代から支持を得ることは難しいと言わざるを得ないでしょう。
『高齢者優遇政策』を訴える立憲民主党などの野党が若い世代からの支持を得られないのは当たり前
野党やマスコミは「なぜ若者が安倍政権を支持するのか理解できない」との主張を展開していますが、これは極めて当たり前の現象です。
なぜなら、立憲民主党などマスコミが野党として取り上げる政党はいずれも『高齢者優遇政策』を優先させているからです。高齢者を優遇するということは「現役世代に “しわ寄せ” が行く」という意味です。
自分たちの生活を苦しくする政策を掲げる政党を積極的に支持する有権者は少数派でしょう。
だから、『高齢者優遇政策』の度合いが「マシ」で、経済情勢を上向かせて就職戦線を「売り手市場」にしてくれた安倍政権(= 自民党)を支持する若い有権者が増える結果になるのです。
ただ、10代・20代を中心にする若い有権者層は「積極的な自民支持層」ではありません。「既存メディア以外からも情報を仕入れられる消極的な自民支持層」であり、『良い政策』と『政策実行能力』次第で奪い取ることも可能な票田と言えるでしょう。
医療費を3割負担している若い世代に「選挙に行こう」と呼びかける立憲民主党のセンスのなさ
また、立憲民主党の支持が伸び悩む要因となっているのは「党の方針と行動が一致していないこと」でしょう。代表自らが『高齢者優遇政策』を参院選の応援演説で主張する中、党の公式ツイッターは「若い人よ、選挙に行こう」と呼びかけているのです。
若い人たちへ。これでもあなたは選挙に行きませんか?
— 立憲民主党(りっけん) (@CDP2017) July 14, 2019
(動画はたかまつななさん@nanatakamatsuから) pic.twitter.com/jiNkIblcTj
「後期高齢者が医療費を1割も自己負担をすることはけしからん(= 現役世代が代わりに保険料という形で負担しろ)」と代表が言及している状況下で、“負担が増える側の若者” に選挙へ行くよう促しているのです。
これは逆効果をもたらす可能性が高いと言えるでしょう。
なぜなら、多様な情報源が当たり前となった現代の若者を騙すハードルは以前よりも高くなっているからです。以前は既存マスコミが野党に忖度することで世論を誘導することが可能でした。
しかし、現代はツイッターを始めとする SNS やインターネットを使えば、一次情報を確認することは容易です。また、マスコミが報じるニュースには “ツッコミ” が入れられており、切り貼り報道の実態がさらされるケースも相次いでいます。
こうした状況で『高齢者優遇政策』を掲げる野党に対する若い有権者層からの投票が増える可能性は低いと言わざるを得ないと思われます。
統計学を無視して、「選挙に行っていない有権者は野党に投票する」と思い込んでいるのはないか
野党陣営が「選挙に行こう」と呼びかけている理由は「選挙に行っていない有権者は野党に投票する」と考えているからでしょう。しかし、この考えは間違いです。
これは統計学の問題だからです。
「視聴率は良くなかったが、それは放送された時間帯にテレビを見てない人がいたから。彼らがテレビを見ていれば、我々の番組がトップの視聴率だった」と言っていることと同じです。
テレビ局の関係者が上記の発言をすれば、「何言ってんだ?」と怪訝な顔をされるでしょう。これは「テレビを見ていなかった人を対象に同条件で視聴させると、視聴率と誤差の範囲での数値が出る」ことになるからです。
つまり、“以前の選挙で投票権を行使しなかった人” に今回の選挙で投票をさせたところで、「各政党支持率と誤差の範囲内での得票率になる」のです。
野党支持を公言すれば、どれだけ脛に傷を持った人物でもマスコミが「ヒーローやヒロイン」という扱いで持ち上げてくれるのです。そのため、『隠れ野党支持者』がいる可能性は低いでしょう。
むしろ、「若い有権者にはそのまま寝ていて欲しい」との “本音” をさらけ出し、時間的に余裕のある高齢者からの支持を固めた方が選挙マーケティングという点では正解と言えるのではないでしょうか。