韓国の中央日報、社説で「ロナウドとユヴェントスに謝罪をさせるべき」と世論を煽る
韓国の日刊紙・中央日報が7月30日付けの社説で「韓国はユヴェントスとロナウドに釈明を要求し、謝罪を受けなければならない」と主張しています。
事の発端はロナウド選手が韓国・Kリーグ選抜との親善試合に出場しなかったことです。ただ、出場しなかった場合の措置は「違約金」という形で契約書に明記されていたのですから、ユヴェントス側は謝罪要求には応じないと考えられます。
“クオリティー・ペーパー” に分類される新聞社が世論に「謝罪要求を強めよう」と煽っているのです。この事実は認識しておく意味はあると言えるでしょう。
韓国国民が怒っているのは、ロナウドがファンサイン会をはじめ入国から帰国までの約10時間、約束したすべての公式日程に参加せず、始終一貫して韓国を無視するような態度を見せたうえ、ユベントスも誠意のある謝罪をせず「(8億ウォン台の)違約金さえ支払えば終わり」という態度で傲慢に対応したからだ。韓国プロサッカー連盟だけが繰り返し謝罪したが、これで済むことではない。韓国を欺まんしたユベントスとロナウドに釈明を要求して謝罪を受けなければいけない。そうでなければ欧州名門スポーツクラブに「韓国は半日だけ立ち寄って金さえ稼げばよい国」と広告するのと同じではないのか。
日本の読売・朝日・日経レベルの新聞社が社説で「謝罪要求」を求めていることと同じ
まず、ロナウド選手やユヴェントスに謝罪を要求している『中央日報』は『朝鮮日報』などと並ぶ大手新聞です。日本で例えるなら、読売新聞や朝日新聞などと同格の位置づけと言えるでしょう。
タブロイド紙(≒ 日本の夕刊紙)ではなく、“クオリティー・ペーパー” に該当する一般紙が先頭に立って「謝罪要求」をしているのです。
そもそも論で言えば、中国で試合を行ったユヴェントスを中1日で韓国・ソウルで親善試合をさせることに無理があります。しかも、「ユーヴェ側は27日の開催要求を韓国側の事情で26日に前倒しをした」と韓国で報道されていたと『楽韓Web』が紹介しています。
韓国はユヴェントスに謝罪をさせることで溜飲を下げたいのでしょうが、ユーヴェ側には「韓国側の不備に対して言いたいこと」は(おそらく)山のようにあるはずです。
中央日報の出した社説は “韓国に対する現状分析” を正確にできていると言えるものではありません。そのため、中央日報が懸念する韓国のイメージよりも悪い韓国の印象が世界に向けて発信されることになるでしょう。
ユヴェントスは『契約書の内容』を忠実に履行しており、謝罪を行う義務はない
「ロナウド選手とユヴェントスが契約を反故にした」との批判が出ていますが、これは誤りです。なぜなら、ユヴェントスは「契約内容を遵守している」と言える根拠があるからです。
騒動の原因となっているのは “ロナウド選手の出場条項” ですが、契約の内容は以下のものと言われています。
- ロナウド選手の出場条項
- ユヴェントスはロナウドをKリーグ選抜との親善試合で45分以上プレーさせる
- 「ウォーミングアップ中の負傷」および「試合中の負傷」で45分以上のプレーができない場合は例外
→ 違約金は発生しない - 上記の理由以外で45分以上プレーしない場合は所定の違約金が発生
ユヴェントスが「ロナウド選手を出場させなかった」ことは事実です。しかし、“出場させなかった場合の契約内容” は遵守しています。これは違約金を支払えば、主催者との契約内容を履行したことになるからです。
したがって、「契約で定められた内容を履行したにも関わらず、謝罪という追加措置を講じる義務は一切ない」とユーヴェ側が主張できることを見落としている人が散見されるのは気になるところです。
顧客を失うリスクが軽視できないから、本来なら必要のない謝罪を自発的に行うのです。契約内容を守ったにも関わらず、文句を言ってくるのは「顧客」ではなく「クレーマー」です。ユヴェントスが韓国市場を最重要視していない限り、韓国からの要求に応じることはないでしょう。
「韓国は半日だけ立ち寄って金さえ稼げばよい国」とのイメージなら上出来と言える現実
中央日報は社説で「『韓国は半日だけ立ち寄って金さえ稼げばよい国』と思われることは問題だから、謝罪をさせなければならない」と主張しています。
これは「採算を度外視して韓国に貢献せよ」と主張する内容であり、韓国のイメージは悪化するだけです。
ヨーロッパに本拠地を置くサッカーのビッグクラブがプレシーズン・ツアーを実施するのは「収益を上げるため」です。それ以外の理由はありません。なぜなら、世界最高水準を誇る “自前の” 練習施設を持つクラブがほとんどで、別大陸でシーズンに向けた準備をする意味はありません。
中国のように「将来有望な市場」を持っているか、楽天のような「クラブのメインスポンサー」でなければ、極東アジアに欧州のビッグクラブをプレシーズンに招聘することは不可能なのです。
『金さえ稼げればよい国』になることが問題と中央日報は見ていますが、韓国の反応は『金すら稼げない国』として世界にアピールする結果となっています。これではチャンピオンズリーグでの優勝が義務づけられたビッグクラブは韓国を素通りするだけでしょう。
例外は韓国人のソン・フンミン選手が在籍するイングランドのトッテナムぐたいでしょう。ロナウド選手の知名度は抜きん出ていますから、韓国側の限度を超えた要求が世界中のサッカーファンに知れ渡ることになるだけと言えるのではないでしょうか。