「訪日韓国人観光客が前年同月比で半減し、訪日外国人の目標4000万人に暗雲が」と収益性を無視したマスコミが騒ぐ

 今年8月に日本を訪れた韓国からの旅行客数が前年同月比でほぼ半減したことが日本政府観光局の統計から明らかになったと NHK が伝えています。

 マスコミは大事として報じていますが、全体で見ると 2.2% のマイナスに過ぎません。また、韓国人旅行者は「お金を使わない」ことがデータでも出ているため、収益性は改善へと向かうことでしょう。

 

 先月、日本を訪れた韓国人旅行者は推計で30万8000人余りで去年の同じ月と比べて48%の減少と、ほぼ半減しました。この結果、全体の外国人旅行者も2.2%減って11か月ぶりのマイナスとなり、日韓関係の悪化による観光への影響が鮮明になっています。

 (中略)

 韓国からの旅行者はことし7月は7.6%の減少でしたが、8月は、減少幅が大きく拡大した形で、日韓関係の悪化による観光への影響が鮮明になっています。

 政府は来年、2020年に外国人旅行者の数を4000万人に増やす目標を掲げていますが、国と地域別でこれまで2番目に多かった韓国からの旅行者の急激な減少が今後、どのように影響するか懸念されます。

 

韓国人旅行者が全体に与える影響は少ない

 2018年に日本を訪れた外国人旅行客数と韓国人旅行客数をグラフで示すと以下のようになります。

画像:月別・訪日外客数

 昨年は9月に北海道胆振東部を襲った地震の影響で外国人旅行客数に影響が出ました。全体としては月 250〜300 万人の外国人旅行客が日本を訪れていると言えるでしょう。

 一方の韓国人旅行客数は月60万人で推移していました。これが今年の8月にほぼ半減したという統計が現れたのです。

 「韓国だけ」に絞って見れば、大事に捉えることはできるでしょう。しかし、日本に来る外国人は韓国人だけではないのです。したがって、全体を見ることが重要であり、全体では 2.2% のマイナスですから大騒ぎする必要はないと言えるでしょう。

 

韓国人旅行者は「渡航時に落とすお金が少ない」という特徴がある

 韓国人旅行者が来日を敬遠したことで、“韓国人に特化したビジネスをしている人々” は日韓関係の悪化を懸念していることでしょう。しかし、それは経営者の自己責任です。

 なぜなら、「韓国人にオールインする」との判断は経営者が下したものだからです。この事実を棚に上げ、二国間の条約すら守ろうとしない韓国に配慮することを求めている時点で「クレーマーと同じと」と言わざるを得ないでしょう。

 外国人旅行客全体で見ますと、韓国人は近隣国と台湾や香港からの観光客よりもお金を落とさないという特徴があります。

 これはオーバーツーリズムが問題となりつつある日本では序列を下げるべき国民となります。他国と同程度にお金を落とす韓国人観光客には “もてなし” を従来どおりに行うべきですが、そうでない観光客が来なくなるのは朗報と言えるでしょう。

 

「外国人旅行者数4000万人」に意味はない

 日本政府は『観光立国』になることを目指し、「外国人旅行者数4000万人」を具体的な目標として定めています。しかし、これは意味のない目標と言えるでしょう。

 なぜなら、ビザ免除の対象国を拡大すれば、来日する外国人旅行者数を簡単に増やせるからです。

 したがって、重要なのは「金払いの良い外国人旅行者数を増やすこと」であり、不法滞在者や不法就労者のリスクを増やしてまで『外国人旅行者数の数値目標』に拘る意味はないのです。

 「売上高1億円」と成果をアピールしても、そのために「2億円のコスト」を投じていては本末転倒です。「外国人旅行者数」を宣伝するなら、そのために要した費用にも目を向ける必要があると言えるでしょう。

 

 日韓関係の悪化で最も頭を抱えているのは「日本に向かう韓国人旅行者の輸送(の大部分)を担っていた韓国の LCC」です。イースター航空は従業員に無休休暇の取得を要請するレベルですから、日本便を収益路線としていた韓国系 LCC が総倒れになる可能性もある状況なのです。

 「韓国人頼み」になっていた事業者には大きな逆風ですが、韓国人以外の外国人観光客の誘致に挑戦していた事業者にとっては「想定内」でしょう。『多様化』の重要性を認識できていたかが損益の分かれ目になっていたと言えるのではないでしょうか。