セリーグが DH 制を考えているなら、「交流戦明けからオールスター戦までの期間限定」で試験導入すると良いのでは?
2019年のプロ野球・日本シリーズは4連勝でソフトバンクが巨人を下し、3連覇を達成したことでパリーグが7年連続で日本一に輝きました。
この状況を重く見た巨人の原監督が「セリーグも DH 制を導入すべき」を主張していますが、実行されるかは不透明です。もし、導入するのであれば、「交流戦明けからオールスター戦まで」という形で試験導入した上で正式導入を決定すべきと言えるでしょう。
ソフトバンクは DH 制のメリットを上手く活用させている
DH 制(指名打者制)のメリットは「打力の低い選手を打席に立たせなくて良い」という点に尽きます。投手の代わりに “打撃に特化した選手” が打席に入るのですから、強力な打線ができることになるでしょう。
したがって、強力な打線を要するチームを長期戦であるリーグ戦で上回るには「超強力な打線を要する」か「相手の強力打線を抑えられる投手陣を持つ」かのどちらかが必要となります。
2010年代に黄金期を迎えているソフトバンクは「強力打線と強力投手陣を要するバランス型」のチームです。
投打のレベルが「リーグ屈指」であり、選手層も暑いことから大崩れしないことが特徴です。DH 制のないセリーグのチームと比較して「主力の野手が1人多い」という利点を短期決戦で上手く活用していることが強さの秘訣と言えるでしょう。
DH 制のないセリーグは「先行逃げ切り」に持ち込めないと厳しい
逆に、普段は DH 制を使わないペナントを戦っているセリーグの場合は「リードを保って試合後半に入ること」が重要になります。
これはビハインドを背負っているチームはピッチャーの打順で代打を送り、継投に入らざるを得ないからです。つまり、負けている状態を動かすために本来は意図していないタイミングで打者と投手を起用することを強いられるのです。
そのため、ベンチに “機能する切り札” をどれだけ擁しているかが勝敗の分かれ目となります。
また、「守備での役割が重いバッテリー陣(投手と捕手)がどれだけ打てるか」も大きなポイントです。この2つのポジションで「アウトを2つ(ほぼ自動的に)献上すること」が常態化していては DH 制のあるチームとの対戦で勝つことは難しいからです。
したがって、育成面を踏まえたトレーニング方法そのものを見直す必要があると言うこともできるでしょう。
セリーグが DH 制を導入するなら、期間を区切った試験導入の形を採るべき
今年の日本シリーズでソフトバンクに敗れた巨人の原監督は「DH 制の導入」を主張しています。DH を務めるのは「外国人助っ人」がほとんどですし、資金力のある巨人は否定的になる要素は少ないでしょう。
しかし、「投手が打者として打席に入ること」が “伝統” のセリーグですから、導入に消極的な意見が出てくる可能性があります。
そのため、妥協案として提案したいのが「DH 制の導入期間を限定した試験導入」です。具体的には「セパ交流戦が終わってからオールスター戦までのセリーグの試合は DH 制を導入する」という案です。
該当の期間では約4カードが行われます。導入期間としては「妥当な長さ」と言えるでしょう。もし、「対戦が一回りする5カードで DH 制を導入すべき」との主張があるなら、交流戦前の1カードを追加すれば公平となるはずです。
終了時期もオールスター戦という中断期間前までですから、打力でアピールしてポジション奪取を狙う選手には絶好の機会となるでしょう。
「対戦カードの日程」や「雨天などでの順延」における取り扱いをどうするかを詰める必要はありますが、セリーグで DH 制の導入を行うのであれば『期間限定の試験導入』が最も現実的と考えられます。
日本一のプロ野球球団を決める日本シリーズが一方的な展開で終わることは興醒めですから、セリーグのチームが捲土重来を果たすための “仕組み” を作ることが重要と言えるのではないでしょうか。