朝日新聞が「ヤジった市民は取り押さえられるが、首相は議場で好き放題?」との『切り貼りコラム』で「組織は頭から腐る」を自ら実証

 朝日新聞の大野博人編集委員が「日曜に想う」とのコラムで野次について取り上げ、「市民(の野次)は取り締まれるが、首相は好き勝手に野次を飛ばしている」と批判しています。

 この認識は致命的に間違っていることは問題と言わざるを得ません。なぜなら、「違法行為を容認する主張」であるとともに「議場で好き放題に野次を飛ばしている野党議員の行為を容認している」からです。

 「組織が頭から腐る」との罵詈雑言を飛ばした辻元清美議員の発言を朝日新聞が実証していることは皮肉な事態と言わざるを得ないでしょう。

 

 ヤジは、ときにすさまじい破壊力を持つ。独裁政権を倒す引き金になることだってある。

 (中略)

 今度は安倍晋三首相本人まで咲かせた。野党議員の質問に「意味のない質問だよ」。これを問いただされると、質問が「罵詈(ばり)雑言の連続」だからと罵詈雑言で答える始末。

 去年の夏、札幌市の街頭で演説中の首相をヤジった市民が警察官に取り押さえられた出来事を思い出した。

 (中略)

 ヤジは人々がやむにやまれぬ思いを吐き出す手段でもある。街頭のヤジが耳に届かなくなれば、為政者は主権者からの切実なメッセージを受け取りそこなう。

 政治家の仕事は、議場で同僚にヤジを浴びせることより、街頭でヤジを浴びることだろう。浴びる機会を警察が奪ってどうする。

 

辻元清美議員の発言が「質問」と言える根拠を大野博人編集委員は示すべきだ

 朝日新聞の大野編集委員は安倍首相が「意味のない質問だよ」と発言したことを『罵詈雑言』と述べています。そうであるなら、安倍首相が該当の発言をするに至った “辻元議員による直前の発言” が質問だったことを示す必要があります。

 なぜなら、辻元議員(立憲民主党)は「組織は頭から腐る」など、『質問』とは言えない『罵詈雑言』を浴びせた相手に(時間切れによって)反論の答弁をさせずに質疑を打ち切ったからです。

画像:辻元清美議員の “質問” の中身

 国会の議場で要求されるのは「質疑応答」であって、次回の選挙に向けたテレビ用パフォーマンスではありません。その認識が欠落している政治家は与野党に関係なく致命的ですし、狼藉を働く議員に理解を示すマスコミも同罪と言わざるを得ないでしょう。

 

『選挙演説を妨害する野次』は発声者の立場や身分に関係なく取り締まりの対象になる違法行為

 朝日新聞などのメディアが配信する記事の内容が著しく低下しているのは「上層部が腐っているから」でしょう。なぜなら、「警察に違法行為の取り締まりをするな」と編集委員が記事に書く有様だからです。

 大野編集委員が記事で言及している2019年夏に北海道・札幌市で野次を浴びせようとして市民が取り押さえられた理由は『選挙の自由妨害罪』に該当したからです。

 発端となったのは「2017年夏の都議選で応援演説に訪れた安倍首相に一部の聴衆(自称)がコールを浴びせた事件」です。“演説を妨害する行為” は公職選挙法第225条で禁じられており、野次を浴びせることも該当します。酒に酔って演説を妨げても逮捕されるのですから、警察が取り締まりに動くのは当然です。

 なぜなら、選挙の演説が妨害されてしまうと “有権者が” 立候補者の主義や主張を(演説を通して)知る機会が奪われてしまうからです。だから、『選挙の自由』を妨害する行為が法律によって禁じられているのです。

 街頭演説の際に野次を浴びせる行為は『有権者の演説を聞く権利』を毀損しているのですから、そのような狼藉行為に出る人物に理解を示す一部のマスコミは「民主主義の敵」と言わざるを得ないでしょう。

 

『議院内閣制』の国で “有権者からの支持が得られない政党” が与党の座を得るこは不可能

 日本は『議院内閣制』の国ですから、議会選挙で勝てなければ話になりません。つまり、“主権者からの切実なメッセージ” を汲み取ることができない政党は選挙で勝つことはできないのです。

 大野編集委員は「切実な声は『野次』として表現される」と主張していますが、「生活が苦しいんだよ」という類の野次を相手に浴びせたところで救済されるでしょうか。

 その答えは NO です。なぜなら、最も効果的なのは「議員の事務所に陳情に行くこと」だからです。「表現の自由を守れ」と野次を飛ばすより、「表現の自由を守るために活動する」と公言する議員に(事務所を経由する形などで)陳情した方が効果は得られます。

 野党であることは「有権者の多数派に支持されていない理由がある」と言えるでしょう。その原因に対する解決策を実施しなければ、有権者が支持に転じないのは当然です。

 ほとんどの野党は「自分たちの主張は正しい(= 無謬である)」と思い込んでいますから、「その認識は誤りである」と気付かせることがメディアの本来の役割でなければなりません。

 

政治家の仕事は「立法作業」であり、「ストレス発散用のサンドバッグ」ではない

 最後に政治家の仕事は「立法作業」です。法律や条例を作成・改正することが政治家の役割であり、普段はそれぞれの仕事をしている有権者からその役割を遂行するための権力を一時的に付与されているのです。

 したがって、議場で質疑応答をすることが求められますし、野次を飛ばす行為は与野党に関係なく求められていることではありません。

 また、該当で野次を浴びることは全く無関係です。政治家はマスコミのストレス発散用サンドバッグではありませんし、野党支持者らが不満をぶつける対象でもありません。

 与党・自民党の政治家が反撃を自重していることを良いことに狼藉を働く野党やマスコミが有権者から敬遠されるのは当然でしょう。なぜなら、そうした議員の数が増えるほど自分たちが攻撃対象にされるリスクが高まることを有権者は理解しているからです。

 その結果、野党の支持率は “見えない壁” に塞がれる形となり、野党寄りの報道を続けるマスコミから読者・視聴者離れが深刻化するのです。

 

 野党やマスコミは『期待されている本来の役割』を見失い、『自分たちが勝手に定めた教義』を他人に押し付けようとしているから嫌われているのです。組織のトップがそう決断したのですから、「トップが腐っている」との変わりありません。

 そうなると、“まともな人物” は評価されなくなりますし、“暴走歴のある人物” ほど評価が高くなる悪循環を招くことになります。「組織として腐っているだけでなく、周囲に毒を撒き散らす組織は解体が必要」と言わざるを得ないのではないでしょうか。