アメリカ大統領選挙の民主党候補指名争い、極左バーニー・サンダース上院議員が支持率トップで3月の大一番を迎える状況に

 CNN によりますと、2020年11月に行われるアメリカ大統領選挙に臨む野党・民主党の候補指名争いで好スタートを切ったバーニー・サンダース上院議員が世論調査による支持率で2位以下を大きく引き離しているとのことです。

 誰を候補に選ぶかは民主党員などの有資格者の自由です。ただ、サンダース上院議員の政治思想は「極左」であり、“現職のトランプ大統領” との一騎打ちを制することが最終的に求められることを踏まえると、『極端な主張』を掲げる候補はマイナス面も大きいと言わざるを得ないでしょう。

 

 11月に行われる米大統領選の野党・民主党の指名争いで、序盤の2州で支持を集めたサンダース上院議員が各種世論調査の分析で2位以下を引き離して首位に立っていることがわかった。

 (中略)

 登録した民主党員と民主党寄りの無党派層、投票する可能性のある民主党員のなかで、サンダース議員は28%の支持を集めた。

 以下、支持率は、バイデン前副大統領が16%、ブルームバーグ前ニューヨーク市長が15%、ウォーレン上院議員が13%、ブティジェッジ前サウスベンド市長が10%、クロブシャー上院議員が7%、実業家のスタイヤー氏が2%。

 

2戦目を制したサンダース上院議員が支持率でもトップに立つ

 民主党の候補指名争いは2月3日のアイオワ州で幕が切って落とされました。ただ、集計作業が混乱。ブティジェッジ氏とサンダース氏のどちらの候補が勝者なのか確定していない状況で2戦目に突入してしまいました。

 11日にニューハンプシャー州で行われた2戦目はサンダース氏が制し、22日に予定されているネバダ州での3戦目に向けて弾みを付けています。そのため、支持率も上昇してトップに立っています。

表: 民主党の主要大統領候補の支持率(2月21日時点)
候補者名 支持率
バーニー・サンダース
(78, 上院議員)
28%
ジョー・バイデン
(77, 前・副大統領)
16%
マイケル・ブルームバーグ
(78, 前ニューヨーク市長)
15%
エリザベス・ウォーレン
(70, 上院議員)
13%
ピート・ブティジェッジ
(38, 前サウスベンド市長)
10%
エイミー・クロブシャー
(58, 上院議員)
7%

 予備選が始まる前は前・副大統領のバイデン候補が支持率でトップでしたが、失速しました。

 代わりにトップに躍り出たのは『極左』のサンダース上院議員です。ウォーレン上院議員も『極左』の政治思想ですが、他の有力候補は『穏健派』か『中道派』です。そのため、候補者が少ない左翼系候補が序盤戦でどれだけ勝利を積み重ねられるかが注目点になるでしょう。

 

「トランプ大統領の政策は取り入れたくない」という “拒絶感” が民主党の左傾化を加速させる

 民主党の左傾化が進行している理由の1つは「トランプ大統領の政策」にあるでしょう。民主党はトランプ大統領を全否定する “対決姿勢” を露骨にしていますが、『トランプ大統領の政策』は「国内労働者の保護」という中道左派的な内容が中心です。

 そのため、トランプ大統領の政策を完全に否定していまうと、労働者という『従来の支持層』が離れてしまう問題があるのです。

 トランプ大統領は「アメリカ経済を優先させる方針」を鮮明にしているため、「アメリカ国内で働く労働者」も政策による恩恵を受けます。「アメリカに工場を置くべき」との要求で「求人数の増加」という成果が現れるのですから、政策を全否定することは現実的ではないでしょう。

 しかし、トランプ大統領を嫌う人々は『トランプ大統領の掲げた政策』を否定しますし、『手垢の付いていない政策』を要求することでしょう。中道左派や穏健派が求める政策は『トランプ大統領の掲げた政策』に抵触することを踏まえると、残るは『極左の喜ぶ政策』が中心になります。

 その結果、党全体の左傾化が進行することになり、穏健派や中道派が離れることを誘発していまうのです。民主党内での候補者争いではそれでも良いですが、肝心の大統領選挙に勝てなくては意味がありません。したがって、「方針転換できるか」が重要になるでしょう。

 

3月3日に行われる “スーパー・チューズデー” で構図が固まるだろう

 民主党員であれば、民主党で選出された大統領候補に投票するでしょう。予備選では「基本的な政治路線が同じで、目玉政策が異なっている」という形がほとんどだったからです。

 しかし、今回はサンダース上院議員のような “異質な候補” がトップに立っているため、『極左候補』と『トランプ大統領』の2択になる可能性があります。

 『極左候補の掲げた政策』では中道派や穏健派も不利益を被る立場です。したがって、「民主党が持つ投票数」よりも「実際の得票数」が下回ることが有力であるため、トランプ大統領にとっては優位な状況が作り出されることになるでしょう。

 民主党の大統領候補が見えて来るのは3月3日のスーパー・チューズデーの後です。カリフォルニア州やテキサス州といった “大票田” で予備選や党員集会が行われるため、最後まで戦う候補以外は「撤退」を選択することになると予想されるからです。

 『左翼系候補』は「サンダース大統領候補にウォーレン副大統領候補」の構図を作れるかが注目点でしょう。『中道派』や『穏健派』は「誰が本命候補になるか」が注目点と言えるのではないでしょうか。