「報道を語る情報番組」を制作・放送をし続けているのだから、マスコミが新型コロナウイルスのクラスター(集団感染)になる可能性は高い

 読売新聞によりますと、TBS とテレビ東京がドラマやバラエティー番組のロケや収録を一時見合わせるとのことです。

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く状況で陽性反応が出た人が訪れた場所や近い関係の人を「取材」を理由に近づいているのです。また、取材現場で『三密』を回避することに消極的ですから、遅かれ早かれ集団感染を起こすことになるでしょう。

 

 TBSは2日、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、すべてのドラマやバラエティー番組について、ロケやスタジオ収録を4日から19日まで見合わせると発表した。その後は状況を見て判断する。一方、報道・情報番組については引き続き、感染防止に最大限の配慮を行いながら取り組む。

 (中略)

 またテレビ東京も2日、生放送を除き、3日から原則として番組収録を中止し、1週間をめどに出社する社員を2割程度(報道部門を除く)に絞ると発表した。番組収録の再開は、状況を見ながら判断するという。

 

市中で通行人に取材するスタッフが感染者なら、目も当てられない

 テレビ局は新型コロナウイルスの感染拡大に寄与してしまう恐れが強い職種です。なぜなら、取材現場は『三密』の要件を満たしがちであり、インタビューで街中の通行人に手当たり次第に話しかける場面が他業種よりも多いからです。

 したがって、全業種の中でも新型コロナウイルスの感染拡大防止に対してナーバスにならなければならないと言えるでしょう。

 しかし、その認識は著しく欠如しています。バラエティー番組を「無観客」で収録することは『対策』ですが、それだけでは不十分です。

 制作会議をする番組スタッフの中から感染者が出れば、テレビ局全体が隔離対象になってしまいます。テレビ局に出入りするのはスタッフの方が圧倒的に多いですし、このリスクは報道部門も抱えているのです。

 この認識は不特定多数との接点を持つメディア関係者全員が持っていなければならないことだと言えるでしょう。

 

コメンテーターが好き勝手に放言する『情報番組』こそ、制作・放送を自粛すべきだろう

 TBS とテレビ東京は「ドラマやバラエティー番組の制作」を見合わせることを発表しましたが、バラエティー番組と変わらない『情報番組』も制作・放送を自粛すべきです。

 情報番組は「報道」を名乗っていますが、実態は「報道を名乗る情報バラエティー番組」です。

 報道であれば、ニュース内容に BGM が加わることはありません。しかし、『情報番組』は視聴者に感情を植え付けるための BGM が頻繁に使われた上、コメンテーターが「私見」を加味する番組構成です。

 つまり、テレビ局が報じたい内容に事実が編集されているのが『情報番組』なのです。各局のアナウンサーが淡々とニュースを1人で読み上げるのが『報道番組』です。

 似て非なるものですから、放送形態を維持する必要はないでしょう。世間の不安を煽って収益を上げている『情報番組』こそ、真っ先に自粛の対象にしなければならないはずです。

 

「スタジオの番組ホストが中継で専門家に見解を求める」という海外で “お馴染み” の番組構成を日本でも導入しては?

 人との積極頻度を少なくした番組作りの手本は欧米が示しています。「スタジオにいる番組ホストが中継で取り上げているテーマの専門家に見解を求める」という形式です。

 既存メディアは速報性でネットに勝つことは不可能です。専門性においても自らインターネット経由で発信する専門家には勝てませんが、すべての専門家がネットに配信する訳ではないのです。

 そのため、「該当分野の専門家に出演費を支払って見解を述べてもらう」という形式が成り立つ余地があるのです。テレビ局は宿泊・交通費を負担する必要はありませんし、コメンテーターが専門外の分野に口出しをして失笑を買う事態を回避することができます。

 番組ホストに要求されるのは「政権との対決姿勢」ではなく、「専門家の見解を聞く力」と「事前の予習力」です。行動を変える必要があるのはメディアも同じと言えるのではないでしょうか。