抗体検査で「インフルエンザ未満の致死率」と確定しつつある新型コロナによる死者数を減らすために “いかなる犠牲” をも払うべきなの?

 NHK によりますと、2020年3月末から4月7日にかけて神戸市の中央市民病院で新型コロナウイルスに対する抗体検査が行われ、保持率は 3.3% だったとのことです。

 神戸市の人口に換算すると約5万人に該当するため、この場合の致死率はインフルエンザを大きく下回ることになります。

 新型コロナウイルスによる死者数を可能な限り小さくにするために「ありとあらゆる犠牲」を払う価値があるのかが問われていると言えるでしょう。

 

 神戸市中央区にある市立医療センター中央市民病院の医師などのグループは、ことし3月末から先月7日にかけて、新型コロナウイルス以外の理由で外来を受診した患者から無作為に1000人を選び、血液中に新型コロナウイルスに感染したあとにできる「抗体」があるか調べました。

 グループによりますとその結果、3.3%にあたる33人から抗体が検出されたということです。グループでは、調査の対象が外来患者に限られることや検査の正確性に一定の課題があるとしたうえで、これを神戸市の人口に換算するとおよそ5万人が感染したことになるとしています。

 

インフル未満の致死率で大パニックを起こした可能性

 調査結果は英語の論文として報告されています。概要は以下のとおりです。

  • 対象者: 2020年3月31日から4月7日の来院者
  • 結果: 来院者1000名の中、33名が IgG 陽性
    → 3.3% (信頼区間 95%: 2.3 〜 4.6%)
  • 神戸市の人口151万8870人に換算
    • IgG 保持者: 50123人(3.3%)
    • 信頼区間 95%: 34934 〜 69868人
  • 年齢と性別による有病率
    • 2.7% (信頼区間 95%: 1.8 〜 3.9%)
    • IgG 保持者: 40999人
    • 信頼区間 95%: 27333 〜 59221人

 年齢や性別を加味した値でも「神戸市で約4万人の新型コロナウイルスの感染者がいるだろう」という計算になっています。

 『PCR 検査』で確認されている患者数の400倍以上はいる計算ですから、新型コロナウイルスによる致死率は大きく下がることになります。インフルエンザの致死率 0.1% と比較すると、大パニックを起こしているとの言わざるを得ない状況が固まりつつあります。

 

感染症部門の医師には「新型コロナによる死者の絶対数を減らせ」と主張する動機があるが、経済落ち込みの責任は負わない

 このニュースを取り上げた NHK は「大部分の人は感染していないとも言え、外出自粛などの対策は引き続き必要だ」と主張する関西福祉大学の勝田吉彰教授の言葉で締めています。

 感染症対策の専門家の使命(≒ 最優先事項)は「感染症が原因の死者数を減らすこと」です。死者数の絶対値を小さくするほど自らの評価が高まるのですから、「外出自粛をせよ」と主張するのは当たり前です。

 一方で、インフルエンザ未満の致死率である感染症による死者数を減らすために経済を止めてしまうと、経済的理由で命を絶たざるを得なくなる人が続出します。

 感染症対策の専門家が責任を持つのは「感染症対策の指標を作るまで」です。研究色が強い感染症の専門家は「現場に過剰な負担がかかっている状況」や「経済の大不況」に対する責任は問われない立場にあるのです。

 この点に留意した上で、政策方針を修正しなければ本当に取り返しが付かなくなるでしょう。

 

“致死率の低い感染症” への対応を何よりも優先する意義があるのか

 新型コロナウイルスへの対応を最優先にするなら、好きなだけすれば良いでしょう。ただし、その代償は甚大なものになることは避けられません。

 インフルエンザ未満の致死率であることがほぼ確定的な感染症に「エボラ出血熱と同等の対応」を強いれば、現場は疲弊します。また、医療物資も慢性的に不足することになります。

 経済が止まりますから、税収も大きなマイナスです。国は「新型コロナウイルスの治療・入院費を全額持つ」という気前の良さを見せていますが、いつまでも続けることは不可能でしょう。

 日本は医療費を「毎年1兆円のペースで増加」させており、その削減が財政再建の上でも「喫緊の最重要課題」となっているからです。しかし、後期高齢者に現役世代と同じ3割負担をさせることすらできないのですから、財政破綻は既定路線です。

 “将来用の種籾” を「老い先短い高齢者の延命」のために惜しげも無く投入するのですから、どのような未来が待ち受けているかは誰にでも分かることと言えるのではないでしょうか。