日本の新型コロナ感染者がフランス並み(= 6%)なら、「過度な自粛」は逆効果だが「1人も死なせない」が優先されて不況となるだろう
慶応大学病院を新型コロナウイルス以外の理由で訪れた患者67名に対して『PCR 検査』を行ったところ、4名から陽性反応が確認されたと NHK が伝えています。
割合は 6% ですが、この数値が市中での感染状況を示しているのであれば「フランス並み」と言えるでしょう。それだけの感染者がいるのなら、新型コロナウイルスの致死率は著しく低下することになるため、過度な自粛行為はナンセンスです。
ただ、日本では “例外的な1症例” でもマスコミが大騒ぎをするため、全体の活動に支障が生じる国です。したがって、病床数を埋め尽くさない程度に経済活動を再開させる落とし所を設定できるかが要求されていると言えるでしょう。
慶応大学病院によりますと、今月13日から19日の間に新型コロナウイルス以外の患者、67人に対して、手術前や入院前に感染しているかどうか調べるPCR検査を行ったということです。
患者は全員、新型コロナウイルスに感染した際に見られる症状はありませんでしたが、およそ6%にあたる4人が陽性と確認されたとしています。
この結果について、慶応大学病院は患者は病院の外で感染したものと考えられ、地域での感染状況を反映している可能性があるとしています。
仮に東京都の 6% が新型コロナに感染済みなら、“過剰な自粛” を継続する意義が薄れる
慶応大病院で確認された患者数はそのまま使うことはできません。なぜなら、サンプル数が少なすぎるからです。要するに、統計上の誤差を加味する必要があります。二項分布で考えても「2% 〜 15%」ほどが信頼区間になるためです。
- 東京の人口: 約1400万人
- 2%: 約28万人
- 6%: 約84万人
- 15%: 約210万人
ただ、実際には「『PCR 検査』の精度」も影響します。そのため、「患者数が少ない想定の場合は28万人よりも少なく」なり、「患者数が多い想定の倍は210万人よりも多く」なる推定となります。
しかし、東京都の実際の感染者数が20万人だったとすれば、新型コロナウイルスの陽性反応を示した人とは2桁違うことになります。
この(新型コロナによる)致死率は季節性インフルエンザを下回っています。感染者の総数は『PCR 検査』で発見されている数値よりも明らかに多そうだが、重症例や死亡例は極端に少ないという状況なのです。その上で現在の自粛を継続することには反発が起きることになるでしょう。
「家にいろ」は『致死率の低い疾患』という事実の前では反感を買うだけ
患者の絶対数が増加すれば、該当の疾患による死亡者の絶対数も増えます。これは新型コロナウイルスに限った話ではなく、どの疾患でも同じことでしょう。だから、「致死率はどうなのか」という論点があるのです。
季節性インフルエンザで亡くなる人はいますし、重度の後遺症が残る症例もあります。そのため、新型コロナウイルスだけを特別扱いする意味はどこにもないはずです。
確かに、家にいることを徹底すれば、他人との接触機会をほぼゼロにできるでしょう。それによって、新規患者の発生数を抑制することになり、医療資源の温存が期待できます。
しかし、その代償として経済が止まります。一般的に行われていた日常的な消費活動を半強制的にストップさせるのですから、不景気に見舞われることは避けられません。この重荷を背負うことを余儀なくされる世間の反感を買うのは当たり前です。
「医療提供に支障が生じる寸前だから、自宅に留まって新規患者の発生抑制に協力して欲しい」と要望し、通常医療が受けられない弊害を国民に理解させなければ好き勝手に動く人が出ることは避けられないでしょう。
疫学の分野は「景気の影響」を受けないだろうが、世間の大多数はそうではないし、感染症対策の原資は税金である
医療は景気の影響を受けにくい分野でしょう。しかし、世間の多数派は景気の影響を受ける側です。また、注目を浴びている感染症対策に費やす予算の原資は税金ですから、いずれは影響が出るでしょう。
ただ、影響が及ぶのは “最後の方” です。
日本では2020年の1年間で亡くなるのは約140万人と予想されます。これは人口動態から毎年約2万人ほどのペースで死者数が増えていることが読み取れるため、「基準値(となる約140万人の死者数)から新型コロナウイルスでどのぐらい数字が増えるのか」という視点で判断しなければなりません。
現状は「生活習慣の悪い人」や「免疫力が何らかの理由で弱っている人」が新型コロナウイルスによって “狙い撃ち” にされているのです。
延命措置の効果が薄いなら、医療崩壊を防ぐことを目的としたロックダウンや外出自粛要請の根幹が崩れることになります。そのため、「外出自粛要請の部分解除」に踏み切るなど、医療側から譲歩案が提示されなければ協力体制は突然瓦解することも起こり得るでしょう。
キャバクラや風俗など「夜の店舗」で発生したクラスターを追えなくなったなら、その対応策を “今のうちに” に準備しておくべきです。これは感染症対策と並行してできることですし、やらなければ「二の舞」となるでしょう。
永江一石氏が提案する「風営法改正して夜の街をロックダウン」や「リスクの高い高齢者などに注意喚起」など落とし所はあります。こうした提案を専門家会議が上手く活用できるかがポイントになるのではないでしょうか。