フランスのパスツール研究所が「人口の 6% が新型コロナに罹患し、致死率は 0.5%」とする調査報告書を発表

 フランスのパスツール研究所が疫学調査を行った結果を発表し、その中で「国内人口の約 6% が感染していると推測される」と言及しています。

 具体的な数値は 5.7% (レンジ: 2.3 - 6.7)で、370万人が感染済みと推測されています。この場合の致死率(= 感染者に占める死者の割合)は 0.5% にまで低下するため、「ロックダウンの継続」に疑問が呈されることになるでしょう。

 

パスツール研究所の発表内容

 パスツール研究所が発表したレポート(PDF)はウェブ上で公開されています。

  • 数学および統計のモデリング手法を利用
  • フランスの人口の 5.7% (レンジ: 2.3 - 6.7)が新型コロナに感染と推定
  • 入院のリスクは 2.6% (80歳以上の男性は 31%)
  • 致死率は 0.5% (80歳以上の男性は 13%)
  • 入院率と致死率は年齢と正の相関関係
  • (他者に感染させる)R0 は 3.3 からロックダウン後は 0.5 に低下
  • 集団免疫には 70% が必要だから、第二波を懸念

 内容をざっくり箇条書きにすると、上述のようになります。フランスでは370万人が新型コロナに感染と推定されるとの結論が示されており、『PCR 検査』で確認された人々よりも実数はかなり多いと報告されています。

 4月20日時点でのフランス国内の感染確認者数は約11万5000人。死者は約2万人です。この場合の致死率は約 17% ですから、感染が(当局によって)補足されていない “実際の感染者数” を用いた致死率との間には大きな差異が生じていると言えるでしょう。

 

「致死率 0.5%」と「死者2万人」のどちらを優先的に見るかがポイント

 フランスは「統計に基づき実際の感染者数を推定」しましたが、アメリカやドイツの自治体では「抗体検査を実施して実際の感染者数を推定」しています。

 アプローチは異なりますが、どちらの方法でも「『PCR 検査で確認された感染者』よりも『実際の感染者』ははるかに多い」という調査結果が出ています。そのため、新型コロナウイルスの脅威が過大評価されているとの疑念が出ることになるのです。

 ウイルスとの戦いが終結するには「ワクチンが開発される」か「集団免疫を獲得するか」のどちらかが基本線です。

 コロナウイルスのワクチン開発は難しい分野であり、早くても数年単位でしょう。そうなると『集団免疫の獲得』が基本線になりますが、フランスでは「国民の 70% が免疫を持つこと(= 感染歴を有すること)」が集団免疫の達成条件と見なしています。

 つまり、フランスの場合は目標とする「70% の感染」には「あと10倍」が必須であり、そのためには「死者も10倍になる」という懸念材料が自動的に付いてくるのです。そのため、「『致死率』と『死者の絶対値』のどちらを見る国民性か」で選択が異なることになるでしょう。

 

“ゼロリスク信仰” が根強い日本では「経済へのダメージを度外視して自粛を継続」が有力

 日本では『死者の絶対値』が最優先になるでしょう。「致死率がインフルエンザにも満たない」という根拠があっても、高齢者が1人でも亡くなることは(マスコミなどから)問題視されます。

 司法が「適切な医療が提供されていれば患者は亡くならなかった」と現場の実情を無視した価値観を判決に反映させる国ですから、「死者1名」が出た時点で「安倍政権の対応は失敗」との批判が出るのは想定内でなければなりません。

 『BSE 問題』では全頭検査を実施しましたし、福島第一原発の事故では「0ベクレルまで除染しろ」との要求が幅を効かせる国民性なのです。

 豊洲市場の移転問題でも「安全だが安心できない」という科学的根拠を無視した言論が世論に受け入れられましたし、「コロナ禍においても歴史が繰り返されることになる」と予想しておくべきでしょう。

 

 コロナウイルスを死滅させるにはワクチンまたは抗生物質が不可欠ですが、それらは現時点で存在しません。ロックダウン(= 都市封鎖)を行う緊急事態宣言は「医療崩壊を発生させないため」のものであるという基本を忘れてはならないのではないでしょうか。