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公的年金運用に損失を騒いだ人々は「四半期で10兆円の黒字を出したこと」にはダンマリですか?

経済

 公的年金の運用を行っている GPIF が四半期としては過去最高となる10兆5000億円の黒字を出したことが発表されたと NHK が伝えています。

 年金運用に否定的な見解を示していた朝日新聞や民進党など野党は収益が出た時も見解を発表すべきでしょう。損失が出た時だけ大騒ぎするのは悪意があるとしか言い表せない有様となっているからです。

 

 公的年金の積立金を運用しているGPIF=年金積立金管理運用独立行政法人は、去年10月から12月までの運用実績が、アメリカのトランプ大統領の経済政策への期待感を背景に株高や円安ドル高が進んだことなどから、四半期としては過去最高となるおよそ10兆5000億円の黒字になったと発表しました。

 (中略)

 市場運用分の内訳を見ますと、国内株式が4兆6083億円の黒字、外国株式が4兆8213億円の黒字、国内債券が5190億円の赤字、外国債券が1兆5762億円の黒字などとなっています。

 これにより、GPIFが運用する積立金の総額は144兆8038億円になりました。

 

 過去最高の黒字額となったのですが、菅官房長官は「年金運用は長期的な視点で行われるべきもので、運用結果に一喜一憂するものではない」と素っ気ないコメントを述べています。

 この発言は正しいものであり、短期での運用成績を求められないため、本来は四半期の運用結果に一喜一憂する必要はありません。

 しかし、民進党などの野党や朝日新聞などは「四半期の運用結果で損失を出した」と大騒ぎしており、今回の運用結果についても同様にコメントを出してくれることでしょう。

 

 GPIF (年金積立金管理運用独立行政法人)が発表した平成28年度第3四半期運用状況は公表(PDF)されており、確認することは可能です。

表1:GPIFの運用状況(単位:億円)
収益率収益額運用資産額
平成
27年度
Q1 1.92% 26,489 1,411,209
Q2 -5.59 -78,899 1,351,087
Q3 3.56% 47,302 1,398,249
Q4 -3.52% -47,990 1,347,475
平成
28年度
Q1 -3.88% -52,342 1,297,012
Q2 1.84% 23,746 1,320,751
Q3 7.98% 104,973 1,448,038

 今季は10兆円を超える運用益を出しており、運用資産額も144兆円となっています。株式市場であれ、債券市場であれ、波があり上下動することは当たり前です。そのため、長期的な視点で見た際に「運用益を出すことができているのか」が鍵となるのです。

 短期的な視点で揚げ足を取ることに専念している民進党のスタンスはそれと真逆のものと言えるでしょう。

 

 民進党は2016年8月に『年金損失5兆円追及チーム』を設立し、GPIF の運用方法を批判しています。

 表1の黄色でラインが引かれた平成27年度第4四半期と平成28年度第1四半期の運用成績だけを持ち出し、「消えた年金5兆円」や「前期と合わせて10兆円が消えた」と主張していたのです。一見すると正しいように思える主張ですが、長期で見ると “言いがかり” であることが明らかとなります。

画像:公的年金の運用における累積収益額

 市場での公的年金の運用が始まってから、累積の収益額は50兆円を超えていることがグラフから読み取ることができます。運用せずに年金に費やすための予算を50兆円分確保することが簡単ではないことは明らかと言えるでしょう。

 朝日新聞は民進党が『年金損失5兆円追及チーム』を設立する1ヶ月前に社説で「国民の理解あってこそ」と主張しています。「GPIF による運用を止めるから、運用益50兆円分の年金額を国民が負担して欲しい」という論理で理解してもらえるかを考えてみるべきです。

 

 国民の財産額が増加したことに無関心であるなら、国益に対する関心も少ないのでしょう。累積で収益を積み重ねている現実から目を背け、一時期の損失だけを大声で叫ぶことは年金政策を真剣に考えていると言うことはできません。

 民進党は『年金損失5兆円追及チーム』が出した結論を基に、平成28年第3四半期で10兆円もの運用益が生み出されたことに対する “党としての見解” を世間に向けて発表しなければなりません。

 提案型の政党であるなら、運用益が出ることも踏まえた上で年金運用をどうすべきかを論じることができるはずだからです。それができない(もしくはする気がない)なら、口先だけのヤジ政党と批判され続けることになるでしょう。

 専門家を軽視する朝日新聞の掲げる主張はどれも表面的で内容がなく、検討する時間が無駄になるだけです。“朝日新聞的正義” に賛同したとしても、不幸になるのは読者だけであることを自覚しなければなりません。

 

 四半期の運用成績で損失が出たと騒ぐ人の中で、今回の運用益が出たことを無視している人は単に政権を批判したいだけの存在です。

 政権が批判できればネタは何でも良いという無責任な人であり、専門的な分野を語るだけの分析力を持たない人々からの “言いがかり” としてまともに取り合う必要がないことを知っておくべきだと言えるでしょう。