“民進党(旧・民主党)の置き土産” である FIT による国民負担は年間2兆円を超える悲惨な状況へ

 再生可能エネルギーを全量固定価格で買い取る FIT が民主党政権(現・民進党)で始まり、国民の負担が年々上昇していると NHK がついに報じました。

 導入当初から予見されていたことですが、ようやく取り上げたと言えるでしょう。年間2兆円が電気代として上乗せされていることが現状であり、将来的にはさらに負担が増すことが確定的なのです。

 

 5年前の7月1日、太陽光発電など再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が始まってから、私たち電気の利用者が負担するようになりました。再生可能エネルギーを普及させようと始まったこの制度。国は、電力会社に太陽光などで発電した電気をすべて買い取るよう義務づけました。その代わり、買い取り価格の一部を月々の電気料金に上乗せすることを認めました。

 (中略)

 制度が始まった5年前は、負担額は毎月50円程度で済んでいました。しかし、再エネ発電が増えるにつれ、当然のことですが、買い取り額も増えます。その結果、私たちの負担額は5年間で10倍以上、今年度はおよそ700円まで膨らむことになったのです。

 国民全体の年間の負担総額はと言いますと、今年度は、ついに2兆円を超える見込みです。

 

 

1:FIT の導入を決めたのは民主党(現・民進党)

 「政府=自民党」との誤解を招く必要がありますので、固定価格買い取り制度(FIT)の導入を決めたのは民主党・菅政権であり、制度の運用が始まったのは民主党・野田政権だったことを明確にしておかければなりません。

 買い取り価格が 40円/kWh と導入当時のヨーロッパ水準と比較しても、異様に高額な価格が認められたのです。

 現状では 21円/kWh にまで引き下げられましたが、これでも高額です。ビジネスとして有望であるなら、20年も買い取り価格を固定する必要はありません。また、補助金も必要ないことは明白なのです。

 

2:高額な太陽光発電に反対する電力消費者に拒否する選択肢が存在しないことは問題

 FIT が持つ大きな問題は「電力消費者全員が強制的に太陽光発電による負担を押し付けられる」ということです。

 電力会社と契約した時点で強制的に高額な太陽光発電による料金負担がセットで付いてくるのです。なぜ、安い発電方法を選択し、電気代を節約するという選択肢が最初から除外されているのでしょうか。

 携帯電話のように複数の契約プランの中から選べるようになっているべきです。

  • ベーシックプラン
  • 再生エネ発電普及応援プラン
    • 太陽光発電など再生エネによる発電がメイン
    • 夜間など発電ができない場合や、再生エネ発電による供給量が需要電力分を下回っている時は火力・原子力などでカバーする
    • 再生エネによる総発電量は “プラン契約者の消費電力量” を上限とする
  • 原子力発電応援プラン

 再生可能エネルギーを普及させたいのであれば、『再生エネ発電普及応援プラン』のような料金設定を導入することが最低限の責務と言えるでしょう。

 

3:「山林を切り開いて太陽光発電所を建設する」ことが “エコ” なのか?

 太陽光発電を普及させる上で問題となるのは「用地がない」ことです。

 平地で使える土地はすでに利用されており、山間部などに無理やり設置する動きが顕著になっています。森林を伐採してまで太陽光発電のパネルを設置することは “エコ” と言えるのでしょうか。

 大量に設置されている太陽光パネルについても、経年劣化により処分しなければならない時期がやって来ます。処分せずに放置したままにしたり、経営権を売却して逃げる企業が出てくることでしょう。

 “誰かがやらなければならない処分作業” を税金による国民負担で行わないようにするための対策をすでに講じておく必要があります。40円/kWh で参入した企業から『太陽光パネル撤去積立金』を徴取し、積み立てておく制度を用意すべきではないかと思われます。

 

 民主党(現・民進党)の置き土産である FIT で年間2兆円、原発停止による追加燃料費が年間3兆円と毎年5兆円以上の余計な支出を強いられているのです。エネルギー政策でコスト面を含めた議論を本格化させなければならない時期に来ているのではないでしょうか。