朝日新聞、平成29年度(2017年度)の中間決算で本業が赤字に転落
新聞販売部数の下落が止まらない朝日新聞ですが、本業が赤字に転落していたことが明らかになりました。
テレビ朝日 HD が公式サイト上で「親会社等の中間決算に関するお知らせ(PDF)」を発表していますが、本業を示す営業利益が単体で赤字に陥っていることが決算書で示されています。
1:朝日新聞社が記録した中間決算
朝日新聞が平成29年(2017年)4月1日から同年9月30日までの前期期間に記録した業績は下表のとおりです。
単体 | 連結 | |||
---|---|---|---|---|
年度 | H.29 | H.28 | H.29 | H.28 |
売上高 | 124,745 (-3.9%) |
129,816 (-4.6%) |
189,075 (-3.9%) |
196,800 (-4.5%) |
営業利益 | △ 558 | 585 (+58.3%) |
1,077 (-58.5%) |
2,592 (+20.3%) |
経常利益 | 1,472 (-48.2%) |
2,841 (+26.6%) |
4,245 (-28.9%) |
5,974 (+15.7%) |
朝日新聞は単体の営業利益で5億5800万円の赤字を計上しました。『営業利益』の項目は本業を示すため、新聞販売事業が赤字になったことは衝撃が走ったと思われます。しかし、ショックはそれほど大きくないでしょう。
なぜなら、連結では『営業利益』は黒字であり、経営が傾く状況ではないからです。ただ、高給取りの新聞記者に対するグループ内での風当たりは強くなることが予想されます。
“ポエム” を書く記者は高給を得る一方で、部門は赤字を計上しているのです。批判が強まることは自然な流れと言えるでしょう。
2:売り上げの減少が止まらないことが本質的な問題
朝日新聞が本業で赤字に転落した理由は売上高が前年比で50億円減少したことでしょう。
年度 | H.29 前期 | H.28 前期 |
---|---|---|
売上高 | 124,745 | 129,816 |
売上原価 | 82,911 | 85,437 |
販売管理費 | 42,393 | 43,793 |
営業損益 | △ 558 | 585 |
営業外損益 | 2,031 | 2,255 |
経常利益 | 1,472 | 2,841 |
特別損益 | △ 65 | △ 3,247 |
税引前損益 | 1,406 | △ 406 |
法人税等 | 379 | △ 390 |
中間損益 | 1,026 | △ 16 |
原価のコストダウンを図ったところで、売上高がそれ以上のペースで落ち込んでいるのです。販売部数の減少もスピードが若干緩まったとは言え、止まっていない状況です。
10月の時点で612万部ですから、年内の「600万部切れ」は回避できるでしょう。しかし、押し紙問題など “爆弾” がありますので、苦しい立場に変わりないと思われます。
余談ですが、朝日新聞が平成28年度の前期決算で『法人税等』の項目がマイナスになっていることは覚えておいて損はないでしょう。
これは法人税の還付を受けた(=納税を免除された)ことを意味している訳ですから、朝日新聞が「大企業は税制面で優遇を受けている」と書けばブーメランになる可能性があります。
嘘八百を垂れ流しても、謝罪・訂正もせずに野放しになっているのです。経営方針そのものを抜本的に変更しない限り、復活は難しいと言えるのではないでしょうか。