朝日新聞が朝日ビルディングから “リバーステイクオーバー” を仕掛けられる日が現実に来るだろう

 朝日新聞社が公表した2017年3月期の有価証券報告書を金融庁の EDINET から確認することができます。

 ただ、本業であるメディア・コンテンツ事業の落ち込みが大きくなっています。不動産事業が利益の7割を稼いでおり、「朝日新聞を発行する不動産業者」となる日が近づいていると言えるでしょう。

 

1:純利益は倍増したものの、朝日新聞単体の業績は悲惨

 朝日新聞社の連結決算は4009億円、純利益は91億円とバランスは保てています。しかし、単体での業績は低迷に歯止めがかからない状況です。

表1:朝日新聞社の決算【2017年3月期、単位:百万円】
項目 連結 単体
売上高 400,994
(前年比:- 4.5%)
262,392
(前年比:- 4.5%
営業利益 7,017
(前年比:- 42.0%)
2,778
(前年比:- 64.8%
経常利益 15,225
(前年比:- 19.0%)
6,441
(前年比:- 42.0%
純利益 9,126
(前年比:+ 116.7%)
2,024
(前年比:- 32.6%

 

 売上高で 5% 弱の落ち込みを記録し、営業利益・経常利益・純利益では2桁のマイナスなのです。

 ただ、純利益を大きく押し上げた理由は大阪での貸事務所等の減損損失分が少ないためです。プラス要素が存在した訳ではありませんので、苦境は続くことが濃厚です。

 

2:メディア事業が凋落し、不動産事業が利益の大部分を稼ぐ

 セグメント別の売上高と利益は以下のとおりです。本業であるメディア部門の落ち込みが止まらず、不動産部門が利益をカバーしている構図が鮮明になっていると言えます。

表2:朝日新聞社のセグメント別決算【単位:百万円】
項目 メディア 不動産 その他
売上高 367,542
( - 4.8% )
20,174
( + 2.0% )
13,276
( - 6.9% )
利益 1,569
- 77.5%
4,927
( + 13.3% )
488
( - 34.9% )


連結 6,091
〔1,150〕
750
〔541〕
530
〔790〕
単体 3,934
〔792〕
14
〔1〕

 朝日新聞社の平均年収が1213万円であることも報告書では示されています。(従業員の項目でカッコ内の数字は非正規社員の人数)

 固定費である人件費をカットすることは日本ではほぼ不可能であり、新聞発行部数や雑誌出版部数の減少が広告費のマイナスを呼び、利益を大きく引き下げる原因になったと言えるでしょう。

画像:朝日新聞社の事業図

 朝日新聞の新たな収益源となっているのは不動産部門ですが、これは世間からの批判を招く要因があります。「周辺の地価より不当に安い価格で払い下げられた東京本社の土地」や「異常なまでに容積率が緩和された大阪本社の土地」といった “曰く付きのビジネス” で荒稼ぎをしているのです。

 明らかに不公平であるこれらの点を是正する必要があると言えるはずです。

 

3:部数減少への有効策がなく、ジリ貧状態へ

 メディア部門の顔である新聞の部数ですが、前年比で -5% 弱と厳しい立場になっています。「押し紙問題」という爆弾もあるため、実際の販売部数は公表値よりもさらに低い可能性があると言えるでしょう。

表3:朝日新聞社の年間平均部数【2017年3月期】
朝刊 夕刊
部数 641万3千部
(前年比:29万部減)
202万6千部
(前年比:16万部減)

 ちなみに、朝日新聞は「全国紙シェアナンバー1」を競うエリアから “勝つべきエリア” を絞り込み、他社に勝利することを目指すと明記しています。

 要するに、他社(=読売新聞)とのシェア競争で勝てそうな地域に資源を集中し、部数ではなく、「特定地域のシェアで No.1」を目指すと宣言しているのです。つまり、部数の落ち込みはさらに加速することになるでしょう。

 おそらく、都市部や郊外地域に住む人を対象にセールスを行うと思われます。ただ、中京地区に本社機能を持たない読売新聞に部数で敗けているという現実がありますので、新聞社として求められている内容を大きく履き違えている可能性は否定できません。

 

4:森友学園の疑惑報道は “朝日新聞の伝統的な調査報道” というお粗末さ

 朝日新聞が悲惨なのは有価証券報告書の10ページに次のような記載がある点でしょう。大手メディアの “調査報道” のレベルが以下に低いかを如実に示す事例となっているのです。

 伝統的な調査報道では、大阪本社社会部が森友学園への国有地売却をめぐる疑惑を特報。国会でも激しい議論になった。また、編集委員が国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)加盟のジャーナリストと連携して「パナマ文書」報道に取り組んだ。

 大阪・豊中市での国有地売却報道が朝日新聞による “伝統的な調査報道” なのだそうです。民主党政権下で『森友学園』以上に値引きを行った隣接地売却は隠し、政権批判をする飛ばし記事を書き、間違いを放置することが朝日新聞のスタンスなのでしょう。

 確かに慰安婦問題と構図は同じですので、“伝統的な調査報道” と言うべきです。大阪社会部がデマ記事を書いて騒動を起こし、その損失が国に押し付けられています。まさに朝日新聞の本領が発揮されたと言えるのではないでしょうか。

 

 現状が続くようでは、子会社である『朝日ビルディング』が『朝日新聞社』をリバーステイクオーバーすることが現実味を帯びてきます。

 キックバックを要求した取締役が横領で逮捕されるなどスキャンダルも出ていますが、『朝日新聞』という名のフリーペーパーを発行する『不動産事業者』となる方にシフトすることは避けられないでしょう。

 慰安婦報道をごまかし続け、歪曲・捏造という形で角度を付けたがる悪習慣を断ち切らない限り、新聞などのメディア事業が凋落することに歯止めをかけるのは難しいと言えるのではないでしょうか。