劣化した国会議員へは有権者が選挙で審判を下せるのだから、劣化したマスコミの出る幕はない

 読売新聞が6月25日付の社説で自民党から離党した豊田真由子衆院議員の件について、「国会議員の劣化を放置するな」と主張しています。

 ですが、国会議員は有権者である国民から選挙による審判を受ける立場にあるのです。「議員の質」を劣化させている原因の1つはマスコミからの悪意あるバッシングで有能な人材が敬遠しているからでしょう。

 劣化したマスコミには「国会議員の劣化」を批判する権利はないのです。

 

 12年衆院選当時は野党で、現職議員が少なかった自民党は、大量の新人を擁立した。その多くは、民主党政権の度重なる失政を「追い風」に楽々と当選した。

 14年衆院選でも、安倍内閣の高い支持率に支えられ、再選を果たす幸運に恵まれた。今になって、自民党の「1強」下の驕おごりや緩みと相まって、ツケが回ったと言っても過言ではあるまい。

 自民党執行部も、若手議員の質の低下に関する問題意識はあり、国会活動などの研修の強化を求める声が出たが、実現しなかった。人材育成・教育面で党を補完すべき派閥も機能していない。

 党執行部は、現状を放置すべきではない。目に見える形で若手の研修に取り組み、緊張感を持たせる努力をしなければ、不祥事の連鎖は断ち切れまい。

 

 

1:不祥事はどの業界・どの組織でも起きること、違いは「報道されるか」だけである

 マスコミが “不祥事” として報じる内容のニュースはどの業界であっても、どの組織であっても起きることです。唯一の違いは「マスコミが報じるかどうか」という点です。

 豊田衆院議員が起こしたパワハラは読売新聞や朝日新聞の内部でも起きていることです。立場的に上の者が持っている権力を背景に嫌がらせをする行為はマスコミでは日常茶飯事的に起きていることでしょう。

 社会部などが “取材” と称している行動を同じ基準で判定すれば、「パワハラ」と判定される事例がわんさか発生しているはずです。

 不祥事が起きた際、組織として定められた手続きに則り、適切に対処していれば大騒ぎするほどのものではないのです。

 

2:自民党は豊田衆院議員の件で適切に対応した

 豊田衆院議員は過去に園遊会で入場資格のない豊田議員の母親を会場に入れようとしてトラブルを起こしています。これを “イエローカード” とした自民党の対応は的確と言えるでしょう。

 ミスは誰でも起こすことですし、陛下を謁見できる機会は一般人には滅多にないことです。ただし、ルールは守らなければなりません。陛下に陳情書を手渡すという論外なことをした参院議員が議員資格を剥奪されていないのですから、「警告」を示すことは適切な判断だったはずです。

 ところが、豊田衆院議員はパワハラ問題を起こしました。秘書の能力自体がポンコツすぎる(宛名・宛先を誤ったバースデーカード40枚以上を発送)という点には同情の余地はありますが、“イエローカード” に該当する行為であることは間違いありません。

 園遊会の件でイエローカードを1枚受けていた状態だったのですから、2枚目で退場(=自民党から離れる)という結果になったこと当然であると受け止められることでしょう。

 

3:マスゴミが “言いがかり” を付けるほど、『政治家』という職業の魅力が損なわれる

 マスコミが「政治家の劣化が著しい」と主張したところで、“政治家の劣化” は止まらないでしょう。なぜなら、有能な人材が『政治家』という職業に惹かれる要素がないからです。

 報酬は上限が決まっていますし、「政治家の給与を削減します」という政党を喝采する世間の声をマスコミは好意的に伝えます。リターンの少ない中で手をあげるような人材はそもそも希少な存在なのです。

 次に、自民党に属する政治家はマスコミから “言いがかり” が付けられます。同じ行為であっても、野党に属する政治家の件はマスコミが完全にスルーするのですが、与党に属している場合は「議員辞職せよ」と詰め寄られるのです。これでは政治家を志す人物が減って当然です。

  • 与党議員:政策という形で実績を残せる確率は高いが、マスコミから合法行為に対する “言いがかり” で議員辞職を求めるバッシングを展開される恐れあり
  • 野党議員:政治実績を残せる可能性は限りなくゼロ。議員という名の活動家が実態だが、スキャンダルでもマスコミは守ってくれる

 政治家として業績を残したいなら、現状では与党(自民・公明)に属する必要があります。しかし、マスコミが合法行為であっても、“言いがかり” を付け、議員辞職を求めるバッシングキャンペーンを展開するのです。これでは「割に合わない」と考える人が多くなるのは当たり前です。

 一方の野党は “国会議員を名乗る活動家” になっており、暴力行為やセクハラをした人物をマスコミは庇うのですから、論外と言えるでしょう。

 

4:国会議員は有権者からの審判を受けている、マスコミも受けるべきだ

 国会議員は選挙という形で有権者からの審判を受けています。「1強」などマスコミが語っていますが、野党が国会の場で法案審議を頑なに拒否し続けているのですから、議論に参加する与党系議員を中心に当選することになるのです。

 基本は小選挙区なのですから、選挙区の有権者が不適格と判断した国会議員は当選できないのです。

 その一方で、劣化の著しい記事を世に送り出しているマスコミは何の審判も受けていません。国会議員のように明確な支持を得た訳ではないのに、“国民の代表” と勝手に名乗っている有様です。

 歪曲・捏造がネット上で指摘される時代となり、メディアの信頼は地に落ちています。目に見える形で研修に取り組み、「事実を使えなければならない」という緊張感を保ち続けなければ、誤報の連鎖は断ち切れないことを自覚する必要があるのではないでしょうか。