「川島永嗣は日本サッカー史上最高のGKであるが、世界との差は大きい」という日本サッカーに突きつけられている現実

 2018ロシアW杯でサッカー日本代表はベスト16で敗退しました。

 2大会ぶりの決勝トーナメント進出という成果を残しましたが、同時に限界がはっきりと見えたとも言えるでしょう。特に、GK の問題は軽視できるものではありません。

 日本サッカー協会は「日本人 GK の育成」を今以上に注力しなければ、ベスト8は夢で終わることになると思われます。

 

川島永嗣選手の実力を軽く凌駕する GK の育成が必須

 日本代表がW杯でベスト8以上を目指すなら、川島選手の実力を軽く凌駕する日本人 GK が必須です。

画像:川島永嗣選手

 なぜなら、川島選手が日本サッカー史上最高の GK だからです。確かに、セネガル戦でのパフォーマンスは「川島それはない」と揶揄される内容でした。

 しかし、最高峰の選手が集うヨーロッパ(の主要リーグ)で GK としてポジションを掴んだ唯一の日本人選手なのです。それでも、「ベルギーリーグやフランスリーグで GK のポジションを掴んだ」というレベルではメディアから「物足りない」や「弱点」と指摘されるのです。

 したがって、UEFA チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグに出場するレベルのクラブで第1GK を務めるレベルの選手を複数排出することが日本サッカー協会の目標になるでしょう。

 

ベルギー戦の1失点目は “GK のミスがらみ” によるもの

 ベルギー戦は「69分(後半24分)の失点が分岐点になった」と言えるでしょう。ただ、GK 川島選手の(直接的な)ミスは「ポジショニング」です。

画像:反撃の1点目を決めるベルトンゲン

 ベルトンゲン選手がヘディングで中に折り返そうとした浮き球がそのままファーサイドのネットに突き刺さる結果になったのです。

 少なくとも、「ポジショニング」が適切だったとは言えません。1〜2歩は中央寄りで構えるべきでした。

 また、このプレーに対する「ボールに対する判断の速さ」と「フットワーク」についての問題点を洗い出し、育成年代の選手にフィードバックする必要があると言えるでしょう。

 

GK と DF 陣によるセットプレーでの連携にも問題があったことは見落とせない

 また、ベルギー戦での1失点目は「川島選手のパンチング」も少なからず影響しました。この部分についても反省すべき点を洗い出しておく必要があります。

 流れを確認すると、右 CK を獲得したベルギーはファーサイドにボールを入れ、折り返しに成功。中央のルカク選手がボールの落下点付近で待つ状況が生まれました。

画像:ハイボールの対処に向かう川島

 この時点で、日本代表の守備に問題はありません。人数は足りていましたし、ベルギーの選手をマークできていたからです。しかし、最も遠い位置にいた GK の川島選手がクリアに向かいます。

画像:川島が出てきたため、吉田はゴールのカバーに向かう

 落下点に最も近い位置にいた吉田選手に代わって(離れた位置にいた GK の)川島選手がクリアを試みたのですから、「この判断は的確だったのか」という点も評価されるべきと言えるでしょう。

画像:川島がルカクと競り合う形でパンチング

 「ルカクと競り合うことは難しい」という発言は川島選手の擁護にはなりません。「ルカク選手よりも落下点に近いポジションを取っていた吉田選手に代わってクリアを川島選手が試みた判断は適切なのか」にスポットを当てなければ、セットプレーでの守備が向上することは難しいでしょう。

 

 優れた GK を育成するためには「優れた素材を持つ選手」が「最高級の環境」で「研鑽し続ける」ことが重要です。

 GK を育成することで定評のある人物をコーチに招聘し、ヨーロッパと変わらない環境で英才教育を施すことが可能な環境を整備することは日本サッカー協会の役割でしょう。身長の高い選手を GK に起用するだけでは効果が限定的なことを認識しなければなりません。

 韓国人以外は GK に起用できないKリーグから大量の韓国人 GK がJリーグでレギュラーポジションを手にしている現状に協会はもっと危機感を持つべきと言えるのではないでしょうか。