玉城デニー沖縄県知事、条例に定められた “誠実な協議” をお座なりにする形で『辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票』の実施へ

 普天間飛行場の辺野古移転を巡り、沖縄の玉城デニー知事が強権的な振る舞いを見せています。

 「条例で定められたことは遵守せよ」とツイートしているのですが、自分たちは条例で定められたことを遵守しているとは言えないことがブーメランとなっています。このような不誠実な県政は批判の対象となるべきでしょう。

 

「条例で定められた事務遂行の義務を果たせ」と主張する玉城デニー知事

 沖縄の玉城デニー知事が主張する内容は本人がツイートした以下のとおりです。

画像:玉城知事のツイート

 左派が期待する憲法解釈を行う木村草太氏の『法律論』を持ち出し、「沖縄県下の市町村は事務遂行の義務を果たし、県民投票に協力しなければならない」と主張しているのです。

 ただ、このロジックは “木村氏個人の見解” であり、「正しい」との保証はありません。要するに、1人の学者が見解を述べたに過ぎず、法的なお墨付きはない状態なのです。そのため、条例を持ち出すなら、玉城県政へのブーメランが発生することにもなると言えるでしょう。

 

『辺野古の県民投票条例』が成立した時点で、“理解と協力” が懸念事項と地元紙に指摘されていた

 沖縄県は住民投票を行うための条例を2018年10月に成立させました。ただ、その時点から「市町村の理解と協力が必須」と琉球新報に指摘されていたのです。

 辺野古新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票条例が県議会で可決されたことにより、沖縄県は今後、投票実施の実務に取り組む。地方自治法の規定により、県知事は投開票などの事務を市町村に委託し、市町村は管理執行する義務を負う。しかし強制力はなく、石垣市やうるま市など4市が事務委託について県への協力を保留している。市町村の協力がなければ実施は難しいため、県はこれまで以上に丁寧に市町村へ説明し、理解と協力を得る必要がある

 沖縄県は『地方自治法に基づく住民投票条例』を成立させました。この条例の内容が「辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票」なのです。

 沖縄県の市町村には県民投票を管理執行する義務があります。ただ、拒否権がない訳ではなく、交渉の余地があることが法律に明記されているのです。この点を無視した県政運営を玉城知事がしていることを見落とすべきではないでしょう。

 

地方自治法第250条に基づく『協議』を行ったと玉城知事は明言できるのか

 玉城デニー沖縄県知事が残念なのは「自分たちに法令遵守の姿勢がない」とアピールする結果になっていることでしょう。なぜなら、今回の県民投票で “誠実な協議” を行っているとは言えないからです。

(協議の方式)
第二百五十条 普通地方公共団体から国の行政機関又は都道府県の機関に対して協議の申出があつたときは、国の行政機関又は都道府県の機関及び普通地方公共団体は、誠実に協議を行うとともに、相当の期間内に当該協議が調うよう努めなければならない。

 上述の条文は『地方自治法』で定められたものです。つまり、県民投票に難色を示したり、消極的な市町村とは “誠実な協議” をする義務が沖縄県には存在するのです。

 しかし、玉城知事は「誠実」と呼べる対応はせず、「是正の要求」をチラつかせる有様です。これでは「安倍政権未満」と言わざるを得ないでしょう。安倍政権は沖縄県と “誠実な協議” を行った上での法廷闘争を制しているからです。

 

 県内最多の人口を持つ那覇市や名護市中心部の住民は『県民投票』で辺野古移転を妨害しても、マイナス面は何も生じません。普天間飛行場の危険除去も、辺野古で妨害活動を行う活動家を野放しにしても、何ら悪影響はないからです。

 ただ、県知事として安全面や治安面を無視した対応は容認できるものではありません。何の効力もない県民投票のために費やす潤沢な予算があるなら、それを全国ワーストに位置づけられている貧困問題の解決に費やすべきではないでしょうか。