ソフトバンクによる気球による電波中継は該当エリアがそもそも圏外だったのでは?
今月14日に熊本県を中心に発生した地震により、被災した地域を中心に携帯電話がつながりにくくなっていると報じられています。
通信回路の混雑を解消するために、携帯大手3社はそれぞれ対応を行っているのですが、ソフトバンクだけが気球を浮かべることで、通信状況を改善させるという変わった手法を採用しています。
地震の被災地で、救助や支援の活動にあたっている人たちのために、大手通信会社が、福岡と熊本の県境の山あいに電波を中継する機材を積んだ気球を浮かべて、携帯電話の通信状況を改善する対応を取りました。
(中略)
大手通信会社の「ソフトバンク」は、熊本との県境に当たる福岡県八女市の山あいに、電波を中継する機材を積んだ気球を浮かべる対応を始めました。気球はおよそ100メートルの高さに浮かべられ、半径5キロから10キロの範囲で電波の状況が改善されるとしています。
NTT docomo や KDDI が停電が起きても基地局が24時間稼働できるようにするなどの対応を採る方針を打ち出している一方、ソフトバンクだけが電波を中継する機材を搭載した気球を浮かべるという異質の対応を行っていることが分かります。
おそらく、福岡県と熊本県の県境周辺はソフトバンクの携帯電波が届かない圏外エリアが存在しているのでしょう。
携帯各社は “人口カバー率 99%” などと銘打った広告を盛んに報じていましたが、これは日本の国土 99% をカバーしているのではないことに注意しなければなりません。
実際には『メッシュ方式』と呼ばれる共通の計測方法が採用されています。これは全国を 500m 四方の “メッシュ” に区切り、通信可能エリアが 50% を超えているかで割合を求める方式です。
つまり、「そもそも人が居住していないエリア」は “人口カバー率” の数値には影響を与えませんし、「ぽつんと存在する集落」もカバーされていない 1% に含まれていると言えるでしょう。
ビジネスを営む企業が採算の見込めない分野に多額の資金をつぎ込むことは間違ってはいません。大手携帯3社ともに圏外のエリアがある訳ですし、そのことが平時で問題視されることはありません。
しかし、災害時など有事の場合は別です。
「もしもの場合に通信できず、役に立たない携帯」と消費者にイメージを持たれてしまっては顧客離れを引き起こす原因にもなっていまいます。
基地局そのものが災害で被災した場合にどれだけ迅速に復旧できるか、また、被災規模を小さくするための準備に万全を喫していたかを今後は見られることになると言えるでしょう。なぜなら、大量のテレビ広告を打てる資金を大手携帯3社は持っているからです。
災害が発生してから伝言板サービスなどの災害用CMを取り急ぎ作成・放送するのであれば、「現時点でのCM出演者たちが災害用サービスが利用可能であることを知らせる広告」を事前に製作しておくべきでしょう。
必要時と判断した場合に、そちらのCMに切り替えれば済む訳ですし、携帯会社からの “お知らせ内容” はテンプレート化することはそれほど難易度は高くありません。大企業ですら、準備意識が希薄になっている一面が見えたと言えるのではないでしょうか。