ドイツ、再生エネルギーの固定価格買取制度(FIT)を廃止
ドイツ政府が再生可能エネルギーを普及させるために導入された『固定価格買取制度(FIT)』を廃止する方針を決めたとNHKが伝えています。
反原発運動の活動家にとっては向かい風となることでしょう。
ドイツ政府は、日本でも導入されている再生可能エネルギーで発電した電力を電力会社が高い価格で買い取る「固定価格買取制度」について、「時代に合った制度に見直す必要がある」として、来年から廃止する方針を決めました。
再生可能エネルギーの割合を増やすために導入された『固定価格買取制度(FIT)』でしたが、次のような問題が浮き彫りとなり、その負担に耐えられなくなったという事情があります。
- 発電設備が急増し、買取費用が電気料金に転嫁
→ その結果、電気代の高騰を招く - 送電網の整備が遅れ、需要と供給のバランスが崩れる
- 天候次第で大量の余剰電力が生じる
→ 近隣国へ売却するも、売るほど赤字が大きくなる
FITは発電しただけ電力会社が “絶対買い取る” という制度です。そのため、市場価格よりも高額な買取価格が設定されていると、発電会社は発電できるだけ発電するという動機を与えることになるのです。
一般家庭で必要とするだけの電力を貯めておくことは現在の科学技術の水準ではできません。したがって、需要と供給の量を一致させる必要があるのですが、発電量をコントロールできない太陽光発電などによる発電比率が増えることは問題があるのです。
例えば、天候の悪い日は必要とされる供給量を発電できないため、別の発電方法によるバックアップが欠かせません。逆に、天候が良い日は必要とされる以上の電力を発電・供給してしまうため、余った電力をどうにかしなければならない状況を強いられるのです。
ドイツ国内で消費しきれない電力は送電網がつながる中欧諸国に売電されることでしょう。しかし、必要としない電力は例え価格がリーズナブルであっとしても「不要である」と拒否される結末となります。
なぜなら、想定外の電力が送電網に送りこまれると、送電網そのものがパンクし、大規模停電(=ブラックアウト)を引き起こすリスクがあるからです。もし、送電施設の重要設備が壊れるようなことがあれば、復旧にはより多くの時間が必要となる可能性すら存在します。
再生可能エネルギーが本当に優れているなら、政府からの補助金である『固定価格買取制度(FIT)』は不要です。
なぜ、買取価格を市場原理で決めるのではなく、高額な値を固定したままなのでしょうか。そして、強制的に負担を全国民に強いる方法は到底受け入れられるものではなりません。
「原子力発電は嫌だ」と主張する人々のエゴを満たすために高額な電気代の負担を求められるのはゴメンです。少なくとも、日本国内で反原発活動を推進する人々たちだけでFITによる電気代高騰分を引き受けるべきでしょう。
そういった痛みを自ら負担しないのであれば、単なる活動家の妄言として批判の声を浴びせる必要があるのではないでしょうか。