既存ギャンブル依存症患者の存在を無視するカジノ反対派はパチンコ・公営競技団体の手先だ

 カジノ法案が国会で可決されたことに対し、多くのメディアが反対の論陣を展開しています。

 読売新聞は12月2日付の社説で「人の不幸を踏み台にするのか」と書き、朝日新聞は12月6日付の社説で「数の力を振り回すな」と主張しています。

 ですが、メディアの主張内容はカジノにすべての責任を押し付け、既存のギャンブル依存症患者が生まれた原因を解決しようという論調になっていません。これは明らかなダブルスタンダードと言えるでしょう。

 

 そもそもカジノは、賭博客の負け分が収益の柱となる。ギャンブルにはまった人や外国人観光客らの“散財”に期待し、他人の不幸や不運を踏み台にするような成長戦略は極めて不健全である。

 (中略)

 カジノは、競馬など公営ギャンブルより賭け金が高額になりがちとされる。客が借金を負って犯罪に走り、家族が崩壊するといった悲惨な例も生もう。こうした社会的コストは軽視できない。

 

 読売新聞が社説で述べた「負け分が収益の柱となる」というのはパチンコや公営競技(競馬・競艇・競輪・オートバイなど)も同じです。しかし、その中でカジノだけを問題視する姿勢は明らかにダブルスタンダードです。

 賭け金をどれだけに設定するかは本人次第であり、パチンコや公営競技にも大金をつぎ込む人は存在するという現実を都合良く見落としてはなりません。

 

 また、朝日新聞が社説で指摘している数々の問題はパチンコや公営競技によって現実に起きていることばかりです。この点に対する対策を提示するどころか、カジノに責任を押し付けることは誤りと言えるでしょう。

 ギャンブル依存症の増加や治安の悪化、青少年への悪影響、不正な資金洗浄(マネーロンダリング)に使われることへの懸念など、法案は数々の問題をはらむ。世論もむしろ慎重・反対意見の方が多い。

 (中略)

 推進派はまた、カジノの収益の一部を依存症対策にあてればいいと主張する。だがカジノ解禁は新たな依存症患者を生み出しかねない。まさに本末転倒である。

 カジノによって新たなギャンブル依存症患者が生まれたのであれば、それによる依存症対策にカジノ業界が得た収益を当てる方針は至極まっとうなものです。

  • パチンコ・公営競技:ギャンブル依存症
  • ビール・酒類:アルコール依存症
  • たばこ:ニコチン依存症

 しかし、カジノ以外で依存症を引き起こす要因については収益の一部が依存症対策に投じられているとは言えない状況です。カジノを批判するのであれば、依存症の患者を引き起こし、知らぬ顔で収益を上げている業界についても批判する必要があると言えるでしょう。

 

 ギャンブル依存症の患者は500万人を超えていると言われます。この数値はプレイ頻度が多い人の数から算出しており、依存症であるかは賛否が別れるところでしょう。

 少なくカウントしても数百万人は依存症と見なされても不思議ではありません。ですが、彼らがギャンブル依存症を発症させた原因はパチンコであり、公営競技(競馬・競輪・競艇・オートバイ)なのです。

 カジノを悪者にしておけば、メディアが冠大会を開いている公営競技が容認される見込みはないでしょう。パチンコについても同様です。

 “遊戯” と強弁し、グレーゾーンに位置するパチンコの方が社会に悪影響を及ぼすことは明らかです。反社会勢力のフロントになる魅力的な要件がそろっている状況を変える必要があるでしょう。自発的にできないのであれば、法整備によって強制的に行うべき時期に来ていると言えるのではないでしょうか。