「韓国の原発で惨事なら、日本が最大の被害を受ける」と記事に書くものの、韓国に “脱原発” を求めない朝日新聞
朝日新聞がどういう訳か「韓国の原発銀座で惨事が発生すると、日本が最大の被害国になる」とのシミュレーションがあると報じています。
このこと自体は知れていることで驚くべき内容ではありません。「原発の危険性」を読者に訴えるのであれば、少なくとも韓国に対しても “脱原発” を求めなければ整合性が取れなくなることを朝日新聞は自覚しなければならないのです。
カン博士らがシミュレーションの舞台に選んだのは、韓国南東部、釜山市の海沿いにある古里(コリ)原発だ。古里は、軍出身の朴正熙(パク・チョンヒ)独裁政権時代の1978年に1号機が完成した韓国最古の原発。韓国内で商業運転する25基のうち7基が海沿いに並ぶ、韓国最大規模の「原発銀座」だ。
(中略)
その結果、明らかになったのは、最も大きな被害が予想されるのは、原発事故の当事国である韓国ではなく、日本になるということだ。韓国では最大54000平方キロメートルが避難対象地域になり、最大2430万人が避難を余儀なくされる。これに対し、日本では最大67000平方キロメートルが避難対象地域になり、最大2830万人が避難を迫られる、というシミュレーション結果が出た。
カン・ジョンミン博士が想定したのは「セシウム137」が気化して、大気中に飛散したケースです。対象となったのは韓国のコリ(古里)原発で、事故発生は西高東低の気圧配置となる傾向が強い冬場(2015年1月1日)が選択されています。
韓国で営業運転されている原発が重大事故を引き起こす可能性は日本のものより高いと言えるでしょう。なぜなら、頻繁に問題が起きていることが韓国メディアで報じられているからです。
例えば、コリ(古里)原発では原発で使用されるケーブルに性能偽造が発覚し、問題となりました。ウォルソン(月城)原発は地震計が設置ない状況で運転され、ウォルソン原発1号機は設計図を紛失。2号機や3号機の設計図で1号機の安全審査を行うという有様です。
このようなデタラメな運用をする隣国に “反原発” を求められない日本国内の原子力発電に反対する勢力が聞く耳を持たれなくなるのは当然と言えるでしょう。
朝日新聞ですが、3月9日付の社説で「原発安いでは済まぬ」と主張しています。
もし、本気でそのように考えているなら、カン・ジョンミン博士が想定した内容を根拠に、「韓国の原発銀座で惨事が起きた場合、日本への賠償を支払うことができるのか」と韓国に問わなければなりません。
必要性のない除染も賠償費用に含まれるため、韓国が支払うことになる金額は100兆円を超えることになるでしょう。
韓国にも “脱原発” を求めているなら、朝日新聞のスタンスは正しいものです。しかし、日本よりも問題のある運用を行っている韓国に対し、批判的な論説を述べず、日本国内の原子力発電を止めることだけに注力するのはダブルスタンダードに過ぎません。
仮に、日本が朝日新聞が主張するように原子力発電を止めたとしても、韓国や中国で運転されている原子力発電所のリスクにはさらされ続けることに変わりないのです。
資源の持たない国である日本では「原子力発電はコストの安い電力」です。
再生可能エネルギーに将来性があると考えるなら、不動産で収益を上げている朝日新聞がビジネスに乗り出していることでしょう。しかし、口先だけで業界参入はしておらず、FITで高額な電気料金を消費者に転嫁する典型的な “補助金ビジネス” であり、経済的な貢献度はマイナスなのです。
ハンデを受けることが当たり前になっている時点で、ビジネスとしての成功モデルは誰も確立することができていないと言えるでしょう。
偏西風の関係で日本の風上にある中国・韓国が原子力発電を止めない限り、日本は原発のリスクを負った状態は続くことになります。
もし、日本だけが原発の運転を止めると、電気代が高水準のまま維持されることになり、国外での競争力が失われることになるでしょう。その恩恵を受けるのは原発による安価な電力供給を受けている中国や韓国になるのです。
「日本の国力を弱める」という点では原発の運転を止め続け、高コストの状態を維持することが正しい戦術です。朝日新聞がやっていることは中国や韓国を利するための論陣を展開していると言えるでしょう。原発問題は “朝日新聞らしさ” が最も現れているテーマだと言えるのではないでしょうか。