特別報告者の個人的な声明を『国連からの声明』と報じることは捏造報道である

 左翼界隈が好んで活用する『特別報告者』ですが、「国連とは別である」とグテーレス事務次官が見解を示したと NHK が伝えています。

 NHK を始めとするメディアが「国連人権理事会の特別報告者が出した声明を “国連の声明” として報道」しています。決議や総会での議決すら得ていない極めて個人的で無責任な見解を大々的に報じる姿勢は報道として論外と言えるでしょう。

 

 安倍総理大臣が、慰安婦問題をめぐる日韓合意の実施の重要性を指摘したのに対し、グテーレス氏は、日韓合意を支持する考えを示しました。

 一方、グテーレス氏は、各国の人権状況を調査する国連人権理事会の特別報告者について、国連とは別の個人の資格で活動しており、その主張は必ずしも国連の総意を反映するものではないという考えを示しました。

 国連人権理事会の特別報告者は、先に「共謀罪」の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する法案について、「表現の自由への過度の制限につながる可能性がある」などと懸念を示す書簡を安倍総理大臣に送付しています。

 

 

国内の意思決定に敗れた側が『国連』の看板を使って一発逆転に賭けたい動機がある

 特別報告者の見解を “葵の御紋” のように振りかざすのは「国内での意思決定に敗れた側」と言えるでしょう。

 自分たちの主張が(国内で)支持を得られなかったことが受け入れられず、特別報告者に個人的な見解を出させ、それをあたかも『国連(=国際社会)の総意』と強弁し、政府に主張を認めさせようと外圧をかける手段に利用しているだけなのです。

 特別報告者による報告が委員会や国連総会で可決されれば、「国連の見解」としての意味は持つでしょう。しかし、そうしたプロセスを踏む前の段階で発表された極めて個人的な見解に従う必要はどの国にも存在しないのです。

 個人資格で活動する報告者が国の政治に影響を及ぼすことは明らかに内政干渉です。民主主義と相反する行為をリベラル派は要求しているのでしょうか。

 

“個人資格で活動する人物” の報告は『国連の総意』ではない

 グテーレス事務総長が述べた内容をマスコミは理解し、記事に反映させなければなりません。

 特別報告者について、国連とは別の個人の資格で活動しており、その主張は必ずしも国連の総意を反映するものではない」と述べているのです。

 つまり、『特別報告者の主張 ≠ 国連の総意』です。しかし、マスコミが報じる記事の中には「特別報告者の主張であるにもかかわらず、国連の総意である」との明らか誤報が行われています。

 NHK ですら、そのような報じ方をしているのです。これではマスコミに対する信頼度は地に落ちて当然と言えるのではないでしょうか。

 

反基地活動時に傷害で逮捕された活動家の勾留に国連が懸念を示したというデマ

 『特別報告者の主張 ≠ 国連の総意』ということは上述より明確です。しかし、NHK は「国連 沖縄の活動家の長期勾留に懸念示す」とのタイトルで、国連人権理事会の特別報告者など4名が懸念を示したと記事に書いているのです。

画像:特別報告者の主張を国連の見解と混同させようとするNHKの記事

 グテーレス事務総長が述べた見解は NHK の内部で共有されていないのでしょうか。ニュースはどちらも同じ『国際』のカテゴリです。

 情報の内容をアップデートできないのであれば、報道に携わるために不可欠な能力が根本的に欠損しています。また、特別報告者の主張を国連(国際社会)の総意のように誤解を招く表現を用いて世論を誘導することも論外であり、その姿勢は厳しいバッシングを受けるべきものです。

 

 「国連の総意」と呼ぶに値しない個人の資格で活動している特別報告者の主張を『国連』として扱うマスコミの姿勢を改める必要があります。世間からの支持を得られないリベラルが権威主義に走ることは想定内であり、リベラルの暴走を止めるのはメディアの “正確な報道” と言えるのではないでしょうか。