独裁体制を確立させたベネズエラ・マドゥロ大統領をリベラルは批判しなければならない

 国家破綻の危機に瀕しているベネズエラでマドゥロ大統領が国会の立法権を剥奪し、自らの息がかかった制憲議会に権限を引き渡したと日経新聞が伝えています。

 ベネズエラの最高裁は大統領側の判事で固められており、司法・行政に続き立法も大統領の配下となりました。マドゥロ大統領による独裁体制が確立されたと言えるでしょう。リベラル派はこの事態を批判しなければならないはずです。

 

 南米ベネズエラの制憲議会は18日、野党勢力が多数を占める国会から立法権などの権限を剥奪したと宣言した。今後はマドゥロ大統領を支持する勢力が全議席を占める制憲議会が国会の機能を引き継ぎ、憲法改正を進める。マドゥロ大統領は司法、行政に続き立法をも手中に収め、独裁体制を確立した。

 (中略)

 経済混乱が長引く中、野党勢力は2015年12月に実施された議会選挙で大勝。しかしマドゥロ大統領は自らの影響下にある最高裁を使い、野党が多数を占める国会で成立した法律を全て無視している。

 

 “本物の独裁者” がどういった手法を採るのかが明らかなったと言えるでしょう。

 リベラルを自称する日本のマスコミは安倍首相のことを “独裁者” などと揶揄していますが、『本物の独裁者』となったベネズエラ・マドゥロ大統領を批判しなければ整合性を取ることはできません。

 民主主義を根底から批判する行動を平然と行っているベネズエラ政府の方針を批判できなければマスコミとして価値がないも同然だからです。

 

1:左派政権のバラマキで財政が悪化

 ベネズエラが国家破綻の危機に瀕している理由は「左派政権のバラマキ」です。

 産油国で外貨を順調に獲得できていた時は財政面での問題は起きませんでした。ただ、原油価格が下落すると外貨獲得が鈍り、財政運営に行き詰まることになったのです。

 政府が基金という形で将来に向けて蓄える体制が整っていれば、ある程度は緩和されていたでしょう。

 しかし、そうした先見性が効果を発揮するケースはほとんどなく、「国家の収益が悪化した場合に備える」という “後ろ向きな政策” は拒否される傾向が強く、問題が生じた時は手遅れになるケースがほとんどなのです。

 

2:“立憲主義” を名乗る勢力ほどマドゥロ大統領を非難しなければならない

 日本では “立憲主義” を名乗る護憲派が存在しますが、マドゥロ大統領は法律をお構いなしに好き勝手な振る舞いをしています。このような政権運営を批判できなければ、有権者に支持が広がることはないでしょう。

 本物の独裁政権を批判することはなく、民主主義によって選ばれた国家元首に『独裁者』とのレッテルを貼って “批判ごっこ” をしているようでは報道とは呼べません。

 議会選挙の結果を無視し、大統領の意向を行政・司法・立法に反映している時点で独裁政権と断言できるはずです。

 本物の独裁者を批判できないマスコミに「権力を監視する」ことは不可能です。権力が暴走している状態が独裁であり、それを正面から批判することができないようではキレイゴトを述べていることと同じなのです。

 

 ベネズエラは南米に位置していることもあり、日本とのつながりは薄い国です。「日本に与える影響が少ない」という理由では独裁政権の横暴を見逃す理由にはなりません。

 リベラルや民主主義の価値観とは真逆である独裁を批判しなければ、リベラルの存在価値が消えてしまうことになるからです。左派政権は脱線すると自国民を苦境に立たせてきた歴史があります。ベネズエラも同じように “悪しき道” をたどることでしょう。

 それを止めるのはマスコミによる「真っ当な批判」であるべきと言えるのではないでしょうか。