ピョンチャン(平昌)冬季五輪への参加辞退を示唆するヨーロッパ3カ国

 AFP 通信によりますと、安全保障上の懸念が高まっていることを理由にヨーロッパの3カ国がピョンチャン五輪への参加を辞退する可能性に言及したとのことです。

 情勢を考慮すると、参加を明言することにはリスクがあります。特にウィンタースポーツが国技となっているヨーロッパ諸国にとっては安全面に懸念を示すことは当然と言えるでしょう。

 

 北朝鮮の核開発をめぐる安全保障上の懸念が高まっていることを受け、フランスに続いてオーストリアとドイツが22日、韓国で来年2月に開催される平昌冬季五輪への参加を辞退する可能性を示唆した。

 

 アルプス山脈に近く、ウィンタースポーツの強豪3カ国が「辞退の可能性」を示唆しています。北朝鮮が弾道ミサイルや核実験を繰り返す中では当然の判断と言えるはずです。

 自国のスーパースターを危険にさらすことを嫌うことは当然です。英才教育を施した将来のスター候補選手に “もしものこと” があれば、取り返しのつかないことになります。したがって、参加辞退に言及することに問題はないのです。

 

1:ドイツが「参加見合わせ」を示唆したことの意味

 注目すべきはドイツが「参加見合わせ」の可能性を示唆していることです。フランスやオーストリアと比較すれば、消極的ですが、辞退について言及しているのです。

 ドイツではメルケル首相が「北朝鮮情勢で仲介を受け持つ」とアピールしています。

 しかし、ドイツ国内から韓国・ピョンチャンで行われる冬季五輪への参加に対し、安全保障を理由に参加見合わせの可能性に触れています。仲介役に名乗りを上げた自国の国家首脳への要望が報じられていない訳ですから、皮肉なものと言えるでしょう。

 「当事者としての存在感はない」と国内で見られているからです。

 

2:JOCも参加見合わせの基準を内部で決めておくべきだ

 ウィンタースポーツが盛んなヨーロッパの3カ国はピョンチャン五輪への参加辞退を検討していることを明言しましたが、JOC も「参加見合わせの閾値」を決定しておく必要があります。

 オリンピックに向けて選手たちは調整しているでしょうが、安全面が確保できない場合は参加を見合わせなければなりません。JOC は参加するかの決断を下さなければならない立場なのです。

 この際、事前に派遣基準を決めておく必要があると言えるでしょう。なぜなら、選手は競技のために現地に行かなければなりませんが、JOC の役員はその必要はないからです。選手より役員の方が優遇されている現状では「最悪の結果」になったとしても不思議ではありません。

 それを避けるためにも、派遣基準は事前に決めておくことが必要不可欠なのです。

 

 後出しジャンケン的に「なぜ、検討していなかったのか」と問題が起きてから批判することが誰にでもできます。そうならないように、現実に起きる可能性があると認められる出来事への対応を事前に準備しておく必要があります。

 もし、必要ないと判断するなら「そのように決定した根拠」を記録しておくだけで済むのです。JOC がきちんと対策を講じているのかをスポーツジャーナリストは確認をする意味があると言えるのではないでしょうか。