中学生の読解力不足を懸念するのであれば、マスコミ記者らの読解力欠如を深刻に捉えるべきだ

 読売新聞によりますと、中学生の 25% が基礎的な読解力を身につけられないまま義務教育を終えていることが調査で明らかになったとのことです。

 読解力を習得できていないことは将来的に損をする可能性が高まります。しかし、悲観しすぎることもないでしょう。なぜなら、明らかに読解力が欠如しているマスコミ関係者が高給を得ることができているからです。

 

 新聞や教科書などを読み取る基礎的な読解力を身に付けられないまま中学を卒業する生徒が25%にのぼることが、国立情報学研究所(東京都)・新井紀子教授らの研究チームの初調査で明らかになった。

 (中略)

 主語や目的語など文章の構造が理解できているかを問うタイプの設問群で、中学1年の正答率は62%、中学2年が65%、中学3年が75%となった。中学3年の4人に1人(25%)が、教科書レベルの基礎的な読解力を身に付けないまま義務教育を終えていることになる。

 

 基礎的な読解力を習得できていない生徒が4人に1人の割合になっていることは問題です。しかし、学習能力には個人差がある訳ですから、最も習得が遅い生徒に合わせる必要はありません。

 なぜなら、そのような方針に舵を切ってしまうと、平均的に学習ができる多数派の生徒たちの学習機会が損なわれてしまうことになるからです。

 

1:習熟度に差が生じるのだから、その上での対策が必要となる

 「読解力不足」という形で取り上げらえていますが、大きな枠組みでは「習熟度の違い」です。

 1度で理解・学習できる生徒がいれば、複数回で理解・学習する生徒もいます。1回の授業を受けただけでは個人差が生じて当然なのです。

 読解力不足は「(授業などで)生じた個人差」をそのまま放置していることが理由の1つと言えるでしょう。この問題を解決したいのであれば、「習熟度の遅い生徒の処遇をどうするのか」という課題を避けては通れません。

 

2:進級試験の厳格運用が解決策だが、“猛反発” が予想される

 進級・卒業試験を厳格運用すれば、『読解力不足』の問題は解決できるでしょう。なぜなら、卒業要件に「教科書レベルの基礎的な読解力を身に付けること」と明記し、卒業試験で能力をチェックすれば良いからです。

 しかし、現実には無理なことです。

 留年のリスクがあり、生徒の保護者は猛反発することが容易に想像できるからです。イジメ問題の加害者となった生徒に対する出席停止処分ですから、批判が出る有様です。「試験で留年する」という制度を厳格運用することに難色を示す保護者は数多く出ることでしょう。

 中学校での義務教育レベルを習得していない学生たちにまで大学教育を無償で提供する必要はないことは明らかです。むしろ、習熟度別教育を公立中学校でもできるように必要な予算と人材を投下すべきと言えるはずです。

 

3:学習段階の生徒より、マスコミの読解力欠如の方が深刻

 ただ、小学生や中学生のように “知識を身につけるための学習を行っている段階” であるなら、問題はそれほど深刻ではありません。なぜなら、知識を習得するために学習をしているのですから、大事なのは成長していることだからです。

 学業の面で知識量を増やし、それを証明できていれば学生として役割を果たしていると言えるからです。

 しかし、“知識を習得済” であるマスコミは違います。政治家の発言を都合よく解釈し、言いがかりを付ける姿は読解力が欠如していると批判されるものでしょう。読解力が欠如した記者が書いた文書を使って読解力の習得に励まざるを得ない中学生以下の学生たちが不憫でなりません。

 ネット上で「発言や発表に対する読解力の欠如」を理由に失笑を書い続けているマスコミが自らの能力を見直すことが先決と言えるのではないでしょうか。