世界経済フォーラムの『ジェンダーギャップ指数(男女格差報告)』の算出方法には問題がある

 『世界経済フォーラム』が発表している『ジェンダーギャップ指数(男女格差報告)』というランキングが存在します。

 このランキングを根拠に日本批判を展開するメディアや団体が存在しますが、ランキングの算出方法を把握しておく必要があるでしょう。なぜなら、『報道の自由ランキング』と同様に “からくり” が存在しているからです。

 

1:ジェンダーギャップ指数の算出方法

 『世界経済フォーラム』によるジェンダーギャップ指数(男女格差報告)は「経済・教育・健康・政治」の4項目から算出されています。

 ただ、どの国も「教育」と「健康」では差がありません。そのため、「経済」と「政治」の2分野における “男女の比率” でランキングが決まる形式となっているのです。

 

 ちなみに、「経済」と「政治」におけるチェック項目は以下の項目です。

  • 経済
    • 労働力比率
    • 同一労働同一賃金
    • 勤労所得
    • 国会議員・上級官僚・管理職
    • 専門・技術職
  • 政治
    • 女性議員
    • 女性閣僚
    • 女性元首(過去50年)

 では、『世界経済フォーラム』が算出した実際のランキングで確認することにしましょう。

 

2:「男女差が少ないこと」が幸せとは言えない

 ジェンダーギャップ指数(以下の文中 "f/m" で表記)は「0.00 に近いほど男性優位、1.00 だと男女平等、2.00 に近いほど女性優位」というポイントで評価しています。

 2017年版での日本(114位)とスペイン(24位)の差は「経済」と「政治」で生じることとなりました。「教育」と「健康」は “どんぐりの背比べ” だからです。

画像:ジェンダーギャップ指数(2017年版)
  日本 スペイン
女性 男性 女性 男性
経済分野
労働比率 66.4 85.0 68.9 79.7
f/m = 0.78 f/m = 0.86
同一労働
同一賃金
f/m = 0.67 f/m = 0.51
勤労所得 $ 28,724 $ 54,818 $ 28,257 $ 44,677
f/m = 0.52 f/m = 0.63
議員・官僚
・管理職
12.4 87.6 31.2 68.8
f/m = 0.14 f/m = 0.45
専門・
技術職
39.5 60.5 49.9 50.1
f/m = 0.65 f/m = 1.00
政治分野
女性議員 9.3 90.7 39.1 60.9
f/m = 0.10 f/m = 0.64
女性閣僚 15.8 84.2 38.5 61.5
f/m = 0.19 f/m = 0.63
女性元首 0.0 50.0 0.0 50.0
f/m = 0.00 f/m = 0.00

 ジェンダーギャップ指数は「男女比」しか見ていないため、個人の能力ではなく、男女比が同じなるよう徹底すればランキングを上げることは容易です。

 例えば、所得では「日本女性>スペイン女性」であり、「日本男性>>スペイン男性」となっています。日本男性の所得をスペイン男性と同程度にまで押し下げれば、『男女格差はない』とランキングに反映されるのです。果たして、それが「幸せ」なのでしょうか。

 

3:小池百合子や蓮舫を国家元首にすれば、ランキングは上がる

 女性管理職、女性議員(閣僚、首相)を増やせば、ジェンダーギャップ指数(男女格差報告)のランキングを上げることは可能です。

 しかし、能力のない人物を抜擢すれば、組織は持たないでしょう。「女性だから」という理由でゲタを履かせた結果、どういったことが起きるのかは小池百合子・東京都知事や蓮舫議員(前・民進党代表)を見れば明らかです。

 民間団体の発表するランキングのために国や経済を傾かせても良いなら、女性という理由で抜擢すべきです。

 上級職や管理職に必要なのは「能力のある人物」であり、「女性」という理由だけでは不十分です。また、議員についても、日本の有権者は女性が多数派なのです。多数派である女性から支持を得て、選挙に勝てない女性議員のために特別枠を設ける必要性はないと言えるでしょう。

 ランキングの算出方法に “からくり” が存在する指標をありがたがるマスコミには大きな問題があると言えるのではないでしょうか。