「なぜ、リベラル(左派)の支持が下がっているのか」という問いに対する答えは極めてシンプルである

 左派系政党への支持が世界的に下落傾向にあります。日経新聞朝日新聞が記事にしているのですが、原因を把握しておく必要があるでしょう。

 理由は極めてシンプルなものだからです。

 

1:「労組に支持された中道左派」と「資本に支持された中道右派」という基本構図

 かつてはどの国でも構図がシンプルなものでした。

  • 中道左派(リベラル):労働組合
  • 中道右派(保守):資本・企業

 資本を持った企業が『中道右派(保守)』を支持し、労働者の組合が『中道左派(リベラル)』を支持するという大まか構図がありました。どの政党も支持基盤となる層を持ち、それが機能していたのです。

 しかし、その構図が崩れたため、リベラル側の支持率が下落する理由となったのです。

 

 

2:先鋭化したリベラル(左派)政党

 支持率を下げたリベラル(左派)政党に共通することは下図の状態に陥っているという点です。

画像:主要な支持基盤の変化

 以前は労働組合からの支持を受けていることで、「労働者のための政策」を優先していました。それが時代の変化の中で先鋭化したのです。

 具体的には「より活動家の意向を反映した政策」を打ち出し、「マイノリティーに寄り添う政策」に注力するようになりました。寛容さを打ち出すリベラルとして正しいもの評価されるでしょう。しかし、これは党勢の衰退を招く行為なのです。

 リベラル政党の方針転換によって、“人種的に多数派である自国籍の労働者” の声が切り捨てられました。言い換えれば、「リベラルは支持基盤だった労組の主力構成員(=有権者)を政策的に切り捨てた」のです。

 有権者を裏切る政策を実施しておきながら、「既存の支持基盤が離反することはない」と考えているのであれば、非常に “おめでたい” と言えるでしょう。

 

3:左派が「我々は保守」と主張するのは「リベラルは自国民を見捨てる」と世間に知られたから

 リベラル政党である立憲民主党の枝野代表は「我々こそ、保守本流」とマスコミの前で主張し始めています。これは「リベラル(左派)政党は自国民を冷遇し、見捨てている」と気づき出した有権者を繋ぎ止めるための発言に過ぎません。

 労働者の生活に直結するための活動を『連合』はしているでしょうか。『日教組』は過労でパンク寸前の教員の生活を守るための働きかけをしているのでしょうか。

 前者は「安保法制ガー」と叫び、後者は「平和教育ガー」などと “加盟している組合員の生活” を完全に蔑ろにしているのです。これでは組織率が落ちて同然ですし、反転する兆しはないと言えるでしょう。自分たちの生活を苦しくする政党を支持する物好きは滅多にいないからです。

 また、学生を終えた一定数が毎年労働者として社会に出て来ます。『既存の労働者(日本の場合は定年が近い正社員)だけを守る政策』を求めるのでは支持基盤を自ら削いでいることと同じです。

 マイノリティーや活動家からの支持でカバーできる有権者数ではないのです。「違いを生み出すために打ち出した “左派向けポピュリズム” の毒によって、中間層が敬遠する姿勢が顕著になったこと」が支持率低下の大きな要因になったと言えるでしょう。

 

 絶対数が多い「自分たちの生活を良くして欲しいと考える労働者」の受け皿となる政党が見当たらない状況なのです。リベラルは LBGT やヘイトスピーチに熱心になっている訳ですから、大多数の一般的な労働者の選択肢にはなりえません。

 彼らは消去法で “自国民としての当事者意識” がある保守政党を支持するしか道はなくなり、その結果としてリベラル(左派)の凋落が起きることになるのです。

 労働者から最もかけ離れた政策を提示しておきながら、「弱者である労働者は我々を支持すべきだ。支持しないのは差別主義者だからだろう」などと見当違いの論説を主張するから余計に支持者離れを引き起こすのです。これほど自業自得になっている事例は珍しいと言えるのではないでしょうか。