信越線が大雪で立ち往生した件で雪とは無縁の首都圏メディアが “夜間雪中行軍” を要求する非常識ぶりを露呈
大雪のため、JR 東日本の信越線で列車が立ち往生するトラブルが発生しました。
当事者である乗客は JR 東日本の対応に感謝する一方で、雪とは無縁の首都圏(や在阪)メディアが「JR 東日本の対応にケチを付ける」という状況が起きています。朝日新聞を始めとするメディアがニュースを報じる際の前提知識が欠如していることが明るみに出たと言えるでしょう。
猛烈な雪が降り続く中、約430人の乗客が列車内で一夜を明かした。JR信越線が大雪で立ち往生したトラブル。4両編成のため座席が足りず、多くの乗客が立って運転再開を待った。乗客や家族からはJRに対する怒りも聞かれた。
立ち往生した新潟県三条市の現場周辺は、街灯もない水田地帯。真っ暗闇に列車の明かりだけがともり、JRの社員はその明かりを頼りに除雪作業をした。三条市消防本部が設置している計測器では、11日午後7時の積雪は77センチだった。
結果論からは何とでも批判することはできます。ですが、東京や大阪など “大都会の常識” を雪国に当てはめようとすると、主張内容に矛盾が生じることになるのです。
1:雪に慣れている地域でも、“ドカ雪” で交通機関と道路網がマヒする場合もある
まず、認識する必要があるのは新潟は国内屈指の豪雪地帯という点です。そのため、JR 東日本の職員は雪慣れしていることでしょう。
ですが、どれだけ雪に慣れている人材がいたとしても、限界はあります。除雪できる限度を超える積雪があれば、交通機関や道路網がマヒすることは当然のことです。
また、積雪が続く気象状況では視界の確保が困難であることが一般的であり、除雪作業自体が決めて危険な行為となるのです。こうした前提条件を知っておく必要があると言えるでしょう。
2:列車から最寄駅への誘導はあり得ない
「立ち往生した列車から最寄駅へ徒歩で誘導し、代替バスを手配すべきだ」という意見がありますが、これは今回の立ち往生では非現実です。
- 列車が立ち往生するレベルの降雪
- 周囲は街灯のない水田地帯
- 真っ暗闇で農業用水路が存在
- 補給のアテはない
要するに、“夜間雪中行軍” を実施することと同じなのです。2013年3月に北海道東部を襲った暴風雪で発生したホワイトアウトで9名が亡くなった事件を忘れているのでしょう。
マスコミ的には『お涙頂戴物語』が作られた方がオイシイことは言うまでもありません。しかし、“コンテンツ” として消耗させられる役割を押し付けられるのは迷惑極まりないと言えるはずです。
在来線については「ラッセル車を効率的に運行すること」が現実的なドカ雪対策となるでしょう。ただ、運行できる時間帯や路線の制約があると思われますので、資金面で援助することが雪とは馴染みのない地域ができる最大の貢献と言えるのではないでしょうか。