NHK、「子宮頸がんワクチンには疑念がある」との悪質な印象操作を行う
NHK が報じた「子宮頸がんワクチン(HPV ワクチン)のニュース」で、効果と副作用の恣意的な形で紹介されており、悪質な印象操作が行われています。
■ NHK が報じた内容
NHK が19日に報じた記事で問題なのは以下の内容です。
専門家による研究班が原因を調査し、厚生労働省は18日、これまでの結果をホームページで公表しました。それによりますと、ワクチンを接種すれば10万人当たりで最大209人が子宮頸がんで死亡するのを、防ぐ効果が期待されるとしています。
その一方で、去年8月までに副作用が出た疑いのある人が3130人報告され、まれに、呼吸困難やじんましんなどの重いアレルギー症状や、手足に力が入りにくいなどの症状も見られたということです。
「209人の命が救われることと引き換えに、ワクチンで3130人が副作用で苦しんでいる」との誤解を招く印象操作が行われたのです。公共放送を名乗る NHK として大きな問題のある内容の記事と言えるでしょう。
■ 事実
1:比較の対象として抜き出した数字がおかしい
NHK が記事にした厚労省の資料(PDF)を確認すると、意図的に情報を隠していることは明らかです。
- NHK の記事:副作用が出た疑いのある人が3130人報告され、〜
- 厚労省の資料:平成 29(2017)年8月末までに報告された副反応疑いの総報告数は3,130 人(10万人あたり92.1人)で、〜
NHK は副作用を訴える際は絶対値である3130人を前面に出す一方、ワクチンの効果は10万人当たりの数字を出して記事を書いているのです。これは報道機関としてあるまじき姿勢と言えるでしょう。
2:NHK が報じなかった「10万人当たりの数字」
NHK が報じなかった「子宮頸がんワクチン(HPV ワクチン)を巡る10万人当たりの数字」は以下のとおりです。
- 859〜595 人が子宮頸がんになるのを回避できる(生涯累積罹患リスク:推計)
- 209〜144 人が子宮頸がんで死亡するのを回避できる(同上)
- 副作用の疑いが報告されたのは 92.1 人
- 医師や企業が重篤と判断した報告数は 52.5 人(接種後、短期で回復した失神を含む)
- 予防接種法に基づく救済対象者は 8.26 人
子宮頸がんが日本で年間1万人がかかる病気です。国立がん研究センターが公開している2013年の数字で「生涯で子宮頸がんに罹患する確率」は78人に1人。(死亡は339人に1人。10万人当たり294人が亡くなる計算)
「生涯累積罹患リスクが10万人当たり1282人の病気に対し、ワクチンを利用することで 859〜595 人が病気を回避できると見込まれる」との事実を書くことができる訳です。これを報じない NHK の姿勢は大きな問題があると言えるでしょう。
印象操作を行ってまで子宮頸がんワクチン(HPV ワクチン)の危険性を煽る NHK の記事は大きな問題があると言えるのではないでしょうか。