関西3空港の運営が一体化 関空に機能集約を進め、インチョン(韓国)や成田のシェアを切り崩すことが目標だ
関西にある主要空港の1つである神戸空港が4月1日付で民営化されたと日経新聞が伝えています。
関西の航空需要拡大を目指すとのことですが、距離的に近い位置に3空港も存在することはメリットとは言えません。24時間で運用できる関西国際空港(関空)に機能の集約を進めた上で、伊丹空港や神戸空港は関空とは異なるセールスポイントを打ち出す必要があると言えるでしょう。
関西の空の玄関口の一つである神戸空港が1日、民営化された。運営する関西エアポート神戸(神戸市)は、関西国際空港と大阪国際(伊丹)空港を運営する関西エアポート(大阪府泉佐野市)の100%子会社。同社が近接する3空港を一体運営し、各空港の特徴を生かしながら関西の航空需要拡大を目指す取り組みが始まった。
(中略)
神戸空港は24時間使える海上空港でありながら、地元合意に基づき現在は1日60便、運用は午前7時から午後10時まで、国内線のみという規制がある。今後の焦点は規制緩和で、18年度前半にも地元自治体や経済界が3空港の役割分担を協議する「関西3空港懇談会」が開催される見通しだ。
関西3空港の位置関係
関西にある主要3空港の位置関係は以下のとおりです。
戦前に伊丹空港(大阪国際空港)が開港。1970年代からジェット機の騒音問題で訴訟が起きたことで、新空港建設の動きが本格化。1994年に関西国際空港が開港しました。
神戸空港の開港が(関西3空港の中では)最も遅く、2006年の開港です。
伊丹空港の代替先は新空港建設に前向きで、大阪の都市部からの距離もそれほど変わらない神戸沖が当初は有力でした。しかし、反対派の首長が選出されて計画は頓挫。泉州沖の方が「開発の余地あり」との流れになり、関空が開港したという経緯があるのです。
関西空港への機能集約を促進すべき
関西3空港の今後ですが、機能の集約を図る必要があると言えるでしょう。
- 関西空港:国際線と国内線の集約を図り、ハブ空港化を促進
- 伊丹空港:羽田ー伊丹線などドル箱路線とビジネス路線に注力
- 神戸空港:プライベートジェットやビジネスジェットなど
まずは関西空港を東アジア屈指の「ハブ空港」にするための動きを本格化させるべきです。日本では国際線と国内線が別空港に集約されており、“ロス” が生じている状況です。
伊丹空港の発着便を関空発着に切り替えることで、国際便を使用する際の利便性が高くなります。それにより、「日本からの海外旅行客」だけでなく、「来日観光客」も恩恵を受けることになるのです。
ハブ空港になるには24時間体制で運用が可能であることが必須です。その条件を満たすのは関空だけですから、羽田ー伊丹線などビジネス客が多く利用するドル箱路線は伊丹に残しつつ、関空への路線集約を図る必要があると言えるでしょう。
インチョン空港が奪ったシェアを関西空港が奪還すべき
24時間空港である関空は「ハブ空港」になれるポテンシャルがあります。そのために官民が一体となってプロジェクトを進めることが不可欠です。
運営がどれだけ優れていても、航空行政の方向がズレていれば結果は出ません。逆に、航空行政が優れていても、運営が雑だと成果を残すことはできないでしょう。
航空行政と運営が両輪として機能することは利便性が高まりますので、空港利用者に還元されます。それを否定するのはシェアを奪われる空港関係者に限定されるでしょう。関空はインチョン空港(韓国)に奪われた地方空港からの利用客を取り戻した上で、シェアを奪い取ることを目標にしなければなりません。
東アジア屈指の空港になれるポテンシャルがあるのですから、その能力を存分に活かすべきでしょう。LCC が躍進したことで空港利用客の絶対数は増え続けていますので「ハブ空港」として今からでも存在感を放つことは十分に可能と言えるのではないでしょうか。