カン・ジョンホ(姜正浩)にアメリカの就労ビザが発給され、パイレーツで復帰に向けた道のりを歩み出す

 2017年1月に飲酒運転事故を起こした際、3度目の飲酒運転だったことが判明したことで2017年シーズンを棒に振ったカン・ジョンホ(姜正浩)選手に「アメリカの就労ビザが発給された」と MLB.com が報じています。

 パイレーツのフロント陣は復帰を歓迎するコメントを(社交辞令的に)出していますが、ファンの反応は二分することになるでしょう。なぜなら、3度目の飲酒運転であり、再チャンスを与えることとは意味合いが異なるからです。

 

 The Pirates announced on Thursday that Kang was granted a work visa by the United States government and re-entered the U.S. After a year and a half away from the Majors following a DUI conviction in his native South Korea, Kang will soon rejoin the Pirates organization.

 「素行不良」でアメリカ入国が認められなかったカン・ジョンホ(姜正浩)選手ですが、ビザが発給されたことで復帰に向けた扉が1つ開くことになりました。

 韓国の裁判所からは「懲役8ヵ月、執行猶予2年」の判決でしたので、「1年間は何も問題を起こさなかったのだからビザ発給しても問題ない」との判断が働き、アメリカでの労働ビザが発給されたものと思われます。

 

メジャー復帰には “実力とは異なる関門” を突破する必要がある

 カン・ジョンホ選手がメジャーに復帰するには実力の他にも “突破しなければならない関門” があります。

  1. 飲酒運転に対する治療プログラムの受講
  2. パイレーツ傘下のマイナー施設などでの調整
  3. 『制限リスト』登録の解除

 まず、カン・ジョンホ選手は『制限リスト』に登録された状態です。そのため、パイレーツは選手登録枠を使っておらず、給与負担もしていません。

 つまり、この状態を解消できなければ、メジャーでプレーすることはできないのです。

 『治療プログラム』を終え、マイナーで腕が鈍っていないことを証明できれば、メジャー復帰の道が開けることでしょう。「復帰に向けた道に立つことが許された」という状況なのです。

 

チーム再建モードに突入したパイレーツでなら、復帰の可能性はある

 パイレーツが今季開幕前に『再建モード』へ切り替えたことはカン・ジョンホ選手にとって “追い風” と言えるでしょう。なぜなら、実力のある選手ほど他球団に売却されることになり、ポジションに空きが生まれることになるからです。

  • 投:ゲリット・コール(→ アストロズ、1月13日にトレード)
  • 外:アンドリュー・マカッチェン(→ ジャイアンツ、1月15日にトレード)

 トレーニングキャンプが始める前にパイレーツは投打の主力をトレードで放出しました。このニュースを受け、主力選手の1人であるジョシュ・ハリソン選手が「勝つ気がないなら、自分もトレードに出して欲しい」と志願しており、チームの戦力は落ちていると言えるでしょう。

 パイレーツのフロント陣にとって、カン・ジョンホ選手ほど “使い勝手の良い選手” はいません。『制限リスト』に掲載された選手に給与を払う義務はありませんし、メジャー登録の寸前までリストに掲載しておくことも可能だからです。

 また、球団はカン・ジョンホ選手に対する2019年シーズンのオプションも有しています。つまり、ファンから何と言われようと、パイレーツのフロント陣とカン・ジョンホ選手の利害は一致している状態なのです。“チャンス” はそれなりに与えられると言えるでしょう。

 

ドミニカのウィンターリーグでダメダメだった成績を覆せるのか

 カン・ジョンホ選手は『飲酒運転の治療プログラム』は問題なく終えることでしょう。これを終えることに懸念が示される状態ではアメリカの労働ビザが出るとは考えにくいからです。

 ただ、2017年11月に参加したドミニカのウィンターリーグでカン・ジョンホ選手の成績は散々なものあり、チームから解雇されています。

 24試合出場、84打数12安打、打率.143、1本塁打、10打点と不本意な成績でした。おそらく、1年のブランクを埋めるための「調整の場」として活用したのだと思われますが、ブランクによって過去の実績がリセットされている立場なのです。

 微妙な数字でのメジャー復帰が許される立場ではないだけに、3A などマイナーで攻守に堂々とした成績を残すことが鍵になると言えるでしょう。

 

 『依存症』に関係する問題を起こしたアスリートに対し、「どのようなプロセスを経ることで再チャンスを与えるのか」という点については日本のスポーツ界も取り組むべき課題と言えるのではないでしょうか。