インフラ事業の海外輸出で得た収益を日本国内のインフラ再整備に回すスキームの構築を急ぐべき

 NHK によりますと、鉄道・道路などを建設する独立行政法人が民間企業とともに海外事業に参加できる法律が参院本会議で可決・成立したとのことです。

 日本国内のインフラは高度成長期に整備・建設されたものが多く、再整備を行う必要性が生じています。インフラ技術の海外輸出を行うこと収益を確保した分の一部を日本国内のインフラ再整備に充てるという形の構築に力を入れるべきと言えるでしょう。

 

 日本のインフラ事業の輸出を増やそうと、鉄道や道路などを建設している独立行政法人が民間企業とともに海外の事業に参加できるようにする法律が25日の参議院本会議で可決・成立しました。

 政府は成長戦略の柱としてインフラの輸出を積極的に進め、2015年におよそ20兆円だった海外の受注額を2020年に30兆円に増やす目標を掲げています。

 (中略)

 今回の法律改正で、新幹線などの建設を行う鉄道建設・運輸施設整備支援機構や、東日本や西日本の高速道路会社などが海外の事業を行えるようになります。

 新幹線など高速鉄道の敷設や道路建設などインフラ事業には多額の資金が必要となります。その際、建設費などの点で官民一体の連携をするための障害になっていた点を解消したことが今回の法案と言えるでしょう。

 ただ、インフラ事業では「建設」よりも、「運用」で利益を出すことに重点を置かなければなりません。日本型は建設に重きが置かれすぎている傾向があるため、この部分は上手く修正する必要があります。

 

先行の成功事例は NEXCO West USA

 独立行政法人が民間企業と組めるようになったことで、「海外事業で結果を出すこと」が期待されます。先行事例が存在するだけに、後に続くことができるのかが注目点と言えるでしょう。

 海外事業で結果を出している先行事例は『西日本高速道路(NEXCO西日本)』のアメリカ法人『NEXCO West USA』です。日経ビジネスで紹介されているように、民間企業という立場でアメリカのインフラ事業で上手く結果を残しつつあります。

 “受注先になり得る市場” にターゲットを定め、長期的な経営戦略に基づき、会社の規模を拡大させてきたのです。これと同様のことを『民間企業』と『独立行政法人』がコンビを組む形ででもできるかが焦点なのです。

 

「円借款の放棄」を繰り返してきた海外インフラ投資の転換点となるか

 過去に日本政府が行ってきた海外へのインフラ投資は ODA が中心で、途上国のインフラ整備がほとんどでした。バブル期で “カネ余り” だった頃は問題はなかったでしょう。しかし、時代情勢が変わり、転換が必要になったのです。

 まず、日本国内のインフラ再整備に費やす資金を用立てる必要性が高まることになりました。

 これは設備の老朽化に伴い、避けられない支出です。ただ、社会保障に莫大なまでの予算を費やしている現状にメスを入れる政治家がいないため、“予算を自前で調達できる形” に変化せざるを得ない状況になっていると言えるでしょう。

 そのため、インフラ投資を行った国に「円借款の放棄」という “プレゼント” をしてきた甘い対応を見直さなければなりません。日本国内のインフラ再整備に充てるだけのリターンを海外インフラ投資で得ることにプライオリティーを置く必要があるのです。

 

 鉄道・道路・上下水道などが日本国外でもインフラ投資でリターンを得られるポテンシャルを持った産業と言えるでしょう。

 日本政府は上手く後押しすることで、国内に再投資が行うための土台を作ることが期待されているのです。変革期を迎えつつある中で国の財政状況を改善させる政策をどれだけ打ち出し、実行することができるのかに注目と言えるのではないでしょうか。