共同通信、“盗聴取材” を隠し通せずに「不適切な取材だった」と詫びる

 「共同通信社が非公開だった会場に録音状態の IC レコーダーを置く取材をしていた」と発表したと読売新聞などが報じています。

 これは『盗聴』に値する行為であり、通信社の業務を揺るがす大問題と言えるでしょう。しかし、大甘の処分で終わっており、マスコミに対する不信感が増幅される結果となる恐れがあります。

 

 共同通信社は12日、学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡り、学園幹部が5月31日に愛媛県庁で県幹部と面談した際、非公開だった会場内に録音状態のICレコーダーを置く不適切な取材があったと発表した。

 録音を促した大阪支社社会部の男性記者をけん責の懲戒処分、レコーダーを置いた松山支局の女性記者を厳重注意処分とした。

 (中略)

 同社の別の記者1人も録音状態のスマートフォンを会場内に置いていたが、退出後間もなく、所有者を捜していた県職員に名乗り出て、目の前でデータを消去した。この記者については、「置き忘れで、故意に録音したものではない」と判断したという。

 

マスコミは「盗聴する特権」でも保有しているのか?

 共同通信が加計学園(や愛媛県庁)に対して行った “盗聴” には合計3名の記者が関わっています。

  • 男性記者Aが女性記者BにICレコーダーを置くよう指示
    → 女性記者Bは指示に従う
  • 記者Cが録音状態のスマホを置く
    → 故意ではないため、処分なし

 記者Cは「置き忘れ」と弁解していますが、“盗聴” する気だったのでしょう。録音状態だったことを指摘されなければ、データを消す必要はありませんし、非公開だった会場内のやりとりを聞くことができたからです。

 マスコミ全体に「盗聴することは当たり前」との認識が根付いていると考えられます。そのため、「問題行為である」との意識がないのでしょう。

 

「録音がバレるようでは半人前」との意識が透けて見える

 共同通信社が当該記者に下した処分は大甘です。盗聴が発覚しても、始末書レベルで済む訳ですから、盗聴は日常的な取材方法なのでしょう。

 また、録音していたデータを(県庁職員の面前で)消去した記者は処分を受けていません。

 つまり、「盗聴がバレても、その場で隠滅すれば組織として処分はしない」と宣言していることと同じなのです。言い換えれば、「(騙し討ちの)無断録音が取材相手にバレるようでは半人前」との認識で取材活動をしているのです。

 このような信頼を損ねるような取材手法を平然と行うメディア関係者の姿勢を同業他社が厳しく批判することができていない時点で致命的と言わざるを得ません。

 

スマホの『通話アプリ』で会場内の音声は聞き放題という認識を持つべきだ

 マスコミからの取材を受ける場合、様々な手段で無断録音をしているとの認識を持つべきです。

 共同通信の記者Cは「録音状態のスマホを置き忘れた」との弁解し、その場で録音データを消去しました。しかし、『通話アプリ』で自身が持つ2台目のスマホと通話状態にしてしまえば、非公式の会場に “うっかり” 置き忘れたスマホの録音データを消去しても、全く問題はありません。

 なぜなら、2台目のスマホに『通話アプリ』経由で届いた音声データを録音すれば、会場に置き忘れたスマホの『録音アプリ』で記録した音声データを消去しても痛手にはならないからです。

 この手法は現実に使えるものですし、それほど難しいものではありません。しかも、咎められた際は「データは消しました」と言い訳ができる訳ですから、このような姑息な手法を用いる取材陣は多数存在するという認識を持っておくべきだと言えるでしょう。

 

 無断録音したデータを週刊誌に売ったテレビ朝日の女性記者に対し、テレビ朝日は処分を発表していません。おそらく、このまま有耶無耶にするつもりなのでしょう。

 共同通信は『盗聴』が発覚したため、一応の処分を下しましたが、内容は大甘です。警察ですら、捜査令状がなければ盗聴・盗撮は批判の対象となっているのです。

 令状すらなく、盗聴・盗撮を平然と行うマスコミの姿勢は大きな問題であると言えるのではないでしょうか。