アメリカ上院が圧倒的多数で ZTE への制裁継続を可決、トランプ政権との対決が鮮明に

 ウォール・ストリート・ジャーナルによりますと、アメリカ上院が「アメリカ製部品を ZTE に販売することを禁じる法案」を圧倒的多数で可決したとのことです。

 トランプ大統領は ZTE に罰金を科すことで “手打ち” にしようとしましたが、議会が NO を突きつけた形になります。議会下院も制裁継続の方向に傾いており、米中貿易戦争が本格化する可能性があると言えるでしょう。

 

 米上院は18日、中国の通信機器メーカー「中興通訊 (ZTE)」への米国製部品の販売を再び禁じる法案を賛成85票、反対10票で可決した。ZTEの救済に動いたドナルド・トランプ大統領への反対姿勢を明確にするという異例の行動に出た。

 この販売禁止措置は、より規模が大きく可決が必須の国防権限法(NDAA)に組み込まれていた。トランプ氏は今後、NDAAの最終版でZTEへの販売禁止措置を削除するよう議会の交渉担当者に訴えていく見通し。

 ZTE が販売禁止措置を科された理由は「イランや北朝鮮への制裁を破ったから」です。

 また、スパイ行為による国防上の懸念から、販売・取引の禁止処分が下されました。トランプ大統領は「罰金と供託金」で “手打ち” にしようとしたのですが、この方針に議会が NO を宣言した形になりました。

 

上下両院で「ZTE への制裁案」を統一させられるかがポイント

 現時点では『上院の国防権限法』が大差で可決されたに過ぎません。効力を発揮するには『下院の国防権限法』と内容を擦り合わせた上、大統領の署名が必要なのです。

  1. 『国防権限法』の内容を上下両院で一致させる
  2. トランプ大統領が『国防権限法』に署名する

 “国防上の懸念” を払拭するための法案にトランプ大統領が署名を拒む(=拒否権を発動する)ことは困難でしょう。なぜなら、「アメリカ・ファースト」とは言えない対応になってしまうからです。

 そのため、議会下院に対する切り崩しを行い、『ZTE への販売禁止措置が含まれた国防権限法』への署名を迫られることを回避するために奔走することになると考えられます。

 

米中関税戦争という別の火種が存在

 『国防権限法』の法案内容を上下両院で擦り合わせるには時間が必要です。最終案が出来上がるまでに1ヶ月ほどを要することでしょう。

 ただ、それまでの間に「米中関税戦争」が勃発する恐れがあります。互いに関税をかけ合う報復合戦になることが現実にある訳ですから、こちらの問題も見落とすべきではありません。

 アメリカと中国以外の第三国に影響が “飛び火” する可能性があるからです。

 ですが、貿易戦争を起こしそうな雰囲気を醸し出している両国は世界トップ2の経済力を持つ国です。単独でアメリカや中国と太刀打ちできる国は存在しません。したがって、下手に動くと火傷をするという認識を持たなければなりません。

 

"G2" が互いに貿易戦争で睨み合うなら、TPP の魅力度が上がる

 日本にせよ、ドイツにせよ、1国でアメリカや中国と渡り合うことはできません。経済規模が異なるからです。

 ドイツは EU に属しており、実質的に “ヨーロッパのボス” です。しかし、日本は EU のような共同体に属していないため、交渉力は劣る状態であることを認識しなければなりません。

 対抗策として有効なのは「TPP を発行させること」でしょう。TPP の経済圏を確立させることで、公平なルールに基づく自由貿易体制が確保されることになるからです。

 日本政府が経済に大きな影響を及ぼす米中貿易戦争をどのようにマージするのかに注目する必要があると言えるのではないでしょうか。