フェイスブック、決算発表後に1日あたり過去最大の損失を生み出す大幅な株価の下落を記録

 NHK によりますと、フェイスブックの株価が 20% 近い下落幅を記録し、時価総額が13兆円あまり減少したとのことです。

 ネガティブな要素は多く報じられていましたが、株価は上昇傾向にありました。そのため、値下げの大きな理由は「投資家の利益確定目的」と見ておく必要があるでしょう。

 

 アメリカのフェイスブックは26日、株価が20%近い大幅な下落を記録し、これによってフェイスブックの時価総額は日本円で13兆円余り減少し、一日当たりの損失としては過去最大だと伝えられています。

 26日のフェイスブックの株価は取り引き開始直後から大幅に値下がりし、終値は前の日に比べて19%も下落しました。

 (中略)

 フェイスブックは前日の25日に決算発表を行い、増収増益となりましたが、ことし3月に発覚した大量の個人データの流出や、ヨーロッパでの厳しい情報管理規則に伴って今後情報保護のシステムなどに多額のコストが必要になり、成長のスピードが鈍るという見方が強まっていました。

 確かに、フェイスブックは株価を下げる要因を複数抱えています。

 「個人データの流出」や「ザッカーバーグ CEO のホロコースト否定論を削除しないとの発言」に加え、「中国での新事業許可の取り消し」などが理由として指摘されることでしょう。しかし、それらは株価下落の後付け理由に過ぎないと思われます。

 

3月に発覚した個人データ流出問題後、株価は 40% 弱の上昇を記録

 “後付け” と指摘する根拠はフェイスブックの株価です。

画像:フェイスブックの株価の動き

 確かに、個人データの流出が発覚した3月後半の株価は 160 ドルを下回っていました。しかし、その後の株価は上昇傾向を記録。7月には 220 ドルに迫る水準になっていたのです。

 その状況から1日あたり過去最大の下げ幅を記録したのであり、極端に大騒ぎする必要はないと言えるでしょう。

 

「facebook 経由のライブストリーミング中継」という新たなビジネス

 ネガティブなニュースが多く流れる facebook ですが、新たなビジネス機会が見当たらない訳ではありません。中でも、「ライブストリーミング中継」がチャンスと言えるでしょう。

 日本では DAZN (ダ・ゾーン)がJリーグの放映権を獲得したことで注目を集めたライブストリーミング中継ですが、欧州のサッカー界では Youtube や facebook の活用がすでに始まっています。

 例えば、監督の記者会見がライブで全世界に無料で配信されたり、試合がライブストリーミングで配信されているのです。放映権を獲得する資金力はある訳ですから、画質や広告に差を付ける形での有料ビジネスモデルを作ることは可能でしょう。

 『スポーツ』だけではなく、『アーティストのライブ』も同様の形で収益源になり得るポテンシャルがあります。“チケットを確保できなかったファン” を招待することも可能になるため、活用策次第と言えるでしょう。

 

 IT 企業は「株価の値動きが激しい分野」であり、その点を差し引く必要があります。facebook は「若者離れ」が指摘されていますが、LinkedIn(リンクトイン)のようなビジネス特化型の SNS との比較をする必要があるはずです。

 facebook だけが “逆風” を受けているのか。それとも、覇権を握った SNS のリーディング・カンパニーが「規模の成長」という点で限界に達しているのか。そのような視点での分析が必要と言えるのではないでしょうか。