「福島への風評を助長するヤノベケンジ氏の作品」を木幡浩・福島市長が設置を認め、褒め称えて擁護するという地獄絵図

 東日本大震災に起因する原発事故の風評被害に苦しむ福島で、行政のトップ自らが風評を助長する結果となっています。

 アート(= 芸術作品)であれ、風評を具現的に引き起こす表現になっていることはヤノベケンジ氏の落ち度です。また、問題作品の展示を容認した木幡浩・福島市長も風評を引き起こす共犯と言えるでしょう。

 

ヤノベケンジ氏の問題作品と木幡浩・福島市長のツイート

 ヤノベケンジ氏の作品は木幡浩・福島市長のツイートから確認が可能です。

画像:木幡浩・福島市長によるツイート

 「現代アートで抽象化して表現している」と主張していますが、このロジックは通用しません。なぜなら、『誤解を具現化』する形で作品が表現されているからです。

 問題点への指摘はすでに行われている訳ですから、木幡市長が是正する気がないなら、福島全体への風評は続く結果になるでしょう。

 

7月6日の臨時記者会見で風評を助長した木幡浩・福島市長

 ヤノベケンジ氏の作品は『サン・チャイルド』という名称ですが、それが『こむこむ館』の敷地内に設置されることが決まった際、木幡市長による臨時記者会見(PDF)が行われています。その中で問題発言があったことは見落とすべきではないでしょう。

画像:木幡市長の記者会見での発言

 まず私から発表をさせていただきます。

 この度、若い世代に強い支持を得ている現代アーティスト、ヤノベケンジさんの代表作サン・チャイルドが本市に寄贈され、駅前のこむこむ館の敷地内に設置されることになりました。サン・チャイルドは、原子力災害を受けた福島の再生を願って制作された作品です。放射線量ゼロの環境で、防護服のマスクを外した男の子がほほ笑むもので、安全安心で平和な福島と、未来に向かって復興、再生していく希望をイメージしています。

 木幡市長の発言で問題なのは「放射線量ゼロの環境で、防護服のマスクを外した男の子がほほ笑むもの」と作品の説明を行っている点です。

 その理由は「地球上に放射線量ゼロの環境が存在しないから」です。これが太陽などから “自然放射線” が降り注いでいるため、ゼロになることは起こり得ないのです。

 ところが、ヤノベケンジ氏の作品『サン・チャイルド』は「胸部にある線量計の数値は "000" を示している」のです。つまり、「放射線量がゼロでなければ、マスクを外せない」との “呪い” がかかった作品であり、これを現職の福島市長がお墨付きを与えたことによる問題は大きいと言えるでしょう。

 

ヤノベケンジ氏が謝罪しなければならない内容は「不快感を与えたこと」ではなく、「風評を撒き散らしたこと」

 「日常生活とは無縁である現代アート作品」であるなら、作者が批判されることはないでしょう。ただし、ヤノベケンジ氏の『サン・チャイルド』という今回の作品は “日常生活との接点” があるため、当事者からの批判を受けざるを得ない内容です。

 そのため、「風評を助長する作品」との厳しい指摘が寄せられたのです。

 批判を受けたヤノベケンジ氏は「不愉快な思いをさせた」と表明しましたが、実際にしたことは「風評を撒き散らした」のです。この点に対する謝罪がない訳ですから、極めて悪質な態度と言わざるを得ません。

 本来なら、風評被害の影響を受け続けている福島市がヤノベケンジ氏に猛抗議すべき案件です。しかし、木幡市長自らが “ヤノベケンジ氏の熱烈なファン” のような振る舞いに終始し、風評を助長する側にいるのです。これでは風評被害を払拭することは絶望的でしょう。

 

 メディアが「ヤノベケンジ氏の作品が引き起こす風評被害」を取り上げ、批判の声をあげることが福島に対する贖罪になる可能性があると言えるのではないでしょうか。