「代替医療と栄養療法でガンが治った」とのデマを流した女性ブロガー、罰金41万ドルが払えなければ刑務所行きの事態に直面中

 オーストラリアの ABC ニュースによりますと「代替医療と栄養療法で脳腫瘍が治った」とのデマを流した女性が罰金を納付しておらず、刑務所に収監される事態に直面しているとのことです。

 『フェイクニュース』は世界中で問題となっていますし、日本でもこのような法整備が行われるべきでしょう。なぜなら、ネット上だけでなく、新聞やテレビでも『フェイクニュース』が数多く流されているからです。

 

 A Federal Court judge has warned fake wellness blogger Belle Gibson she could go to jail if she does not pay $410,000 for duping customers and breaching Australian consumer law.

 この問題のポイントは以下のものです。

  • ベル・ギブソンは「代替医療と栄養療法で自分の脳腫瘍が治った」との虚偽の主張をすることで収益を得ていた
    → 彼女が脳腫瘍を患ったことはない
  • 「利益の大部分をチャリティーに寄付した」との主張も虚偽
  • 9月に41万豪ドルの罰金命令が下ったが、まだ納付されていない

 41万豪ドルは約3400万円ですから、個人に科された罰金額としてはかなり高額と言えるでしょう。ただ、それだけの収益を上げていたため、これだけの罰金刑が算出されたという側面もあるのです。

 

「虚偽の体験談を使って収益を得たこと」が問題視

 この女性は「代替医療と栄養療法で脳腫瘍が治った」との主張を行い、自らの治療体験を料理本やアプリという形で収益に変えていました。この女性はそもそも脳腫瘍を患っていないのですから、主張自体がデマなのです。

 そのため、オーストラリアの消費者法に抵触することとなり、罰金刑が科せられることになりました。

 ちなみに、書籍とアプリの販売で手に入れた収益は約44万オーストラリア・ドル。1万ドルの寄付を3回したことは認定されていますので、残る41万ドルが罰金額として算定された形になっています。

 

日本も『消費者保護』の観点から、「誤報・捏造」に対する罰金刑を法整備すべき

 オーストラリアの消費者法で見習うべき点は「消費者保護の観点からフェイクニュースを流した側に対する罰金の算出方法が存在すること」でしょう。

 日本では同様の誤報を流しても、罪に問われることは(基本的に)ありません。医師が医師法違反に問われるぐらいでしょう。メディアがデマを流しても、「お詫び」があれば良い方です。

 “水素水” を始め、ほとんどのケースは『表現の自由』を理由に主張した者勝ちとなっています。

 そのため、誤報・捏造報道に対して罰金刑を法整備する意味は大きいと言えるでしょう。現状では罰則が存在しないも同然で、“裏取り” をする必要性が少なく、利益を最大化するために歪曲するなど煽動的な記事を作る動機を提供している状況なのです。

 この実態を改善するために、誤報・捏造・歪曲報道に対する罰金刑を法整備し、報道機関などに「責任」を自覚させる必要があると言えるでしょう。

 

罰金額は「広告費用」から算出すべきだ

 オーストラリアで問題となったケースでは「書籍」や「アプリ」で得た売上分から罰金額が算定されました。そのため、明確な販売行為が行われていない場合の罰金算出方法を準備しておく必要があるでしょう。

 基本的には「広告費用」をベースに罰金額を算出すべきです。

  • 新聞:広告単価 x 誤報記事に充てられたスペース
  • テレビ:CM 単価 x 誤報放送が行われた時間
  • ネット:100円 x ページアクセス数

 デマを流すことで稼ぎを得る “不届き者” が実際にいるのですから、罰金を科すことができる法体系を整備し、罰金の納付を拒むなら収監するオーストラリア方式を見習うべきと言えるはずです。

 もちろん、誤報・捏造の指摘を受けて発信者が「間違った情報を発信した時と “同質・同量の訂正” を行った場合は免罪される」と明記することも重要です。

 

 現状では “同質・同量の訂正” を行う既存メディアは皆無に近い状況ですので、「10秒足らずのお詫び」で済まそうとするメディアには『広告費用』に基づく罰金を科し、納付に応じない場合は懲役刑に科すべきと言えるのではないでしょうか。