鳩山元首相が「民主党政権時に重要公文書を無断で持ち出していた」と告白、毎日新聞は “勇気ある内部告発” として擁護する

 メディアが公文書問題を騒ぎ立てた2018年ですが、年の瀬に衝撃の展開が待っていました。

 毎日新聞によりますと、鳩山由紀夫元首相が民主党政権での首相在任時に重要公文書の無断廃棄・持ち出しを行ったと述べたとのことです。これは大きな問題と言えるでしょう。

 毎日新聞は「公文書問題を憂う元首相の勇気ある内部告発」という位置づけで美談的な扱いをしていますが、実態は「前代未聞の蛮行」です。鳩山元首相こそ、国会に参考人招致をする必要があると言わざるを得ないでしょう。

 

 鳩山由紀夫元首相(2009年9月~10年6月)が、在任中に自らが保有していた公文書の大半を退任直前に廃棄したと毎日新聞の取材に証言した。沖縄県・米軍普天間飛行場の県外移設問題などに関する一部の文書は個人事務所や自宅に持ち出したものの、政権の全貌が分かる記録は残っていないという。

 鳩山元首相が公文書を持ち出した理由は「自己保身」が大部分を占めると考えられます。なぜなら、「外務・防衛は自らの方針に不服従だった」と述べていたからです。

 内部告発のような勇気あるものではないことを認識しておく必要があると言えるでしょう。

 

「役所は都合の悪い文書は捨てる」と考えば、『公文書』を無断で持ち出す動機になる

 まず、「役所は自分たちにとって都合の悪い文書は捨てる」という認識を持っていれば、鳩山元首相のように公文書を無断で持ち出す人物は出てくることでしょう。

  • 外務・防衛は鳩山元首相の方針(= 普天間飛行場の沖縄県外への移設)に否定的だった
  • 政権が取り組んだ仕事は『公文書』に残されている

 政権が取り組んだ仕事は何らかの形で『公文書』に残されているでしょう。そのため、『公文書』を使うことで後になってから、仕事ぶりを評価することが可能になるのです。

 ただし、これは性善説に立った場合の話です。つまり、官僚と政策面で対立した場合、当時の首相が退任した後に官僚側の不手際などが記された『公文書』を秘密裏に廃棄する可能性があると考えることも性悪説の立場からは可能なのです。

 鳩山元首相は「最低でも県外」と主張していたことが記された『公文書』が “消される” ことを恐れたのでしょう。官僚の裏切りに対する保身の目的で公文書を無断で持ち出した可能性は十分になる状態なのです。

 

「公文書の無断持ち出し(= 盗み出し)や破棄」は明らかな蛮行である

 動機があることは問題ではありませんが、実際に行動を起こすことは大きな問題です。なぜなら、公文書管理法に違反する行為だからです。

 鳩山政権は「核持ち込みや沖縄返還をめぐる日米間の密約の資料調査」を命じています。

 『公文書』は「きちんと保存されているべきもの」であるとの認識は鳩山政権当時から存在していたものなのです。しかし、鳩山元首相は在任時に『普天間飛行場の移設に関する公文書』などを無断で持ち出したり、廃棄していたと告白しました。

 官僚側でなく、時の政権が不正に手を染めていたのです。「職員が作成したメモでも公文書」などと主張していた野党やマスコミは鳩山元首相による蛮行を厳しく批判しなければならないことでしょう。

 なぜなら、「自分にとって不都合な内容が記録された『公文書』を不正に持ち出し・廃棄することで保身を図っていたこと」が明るみに出たからです。この大スキャンダルをなかったもの扱いにする限り、民主党の系譜にある立憲民主党が党勢を拡大することはないでしょう。

 

政治家にも制約を課すことができる『特定機密保護法』は有用と言わざるを得ない

 旧・民主党政権で要職にあった政治家が『特定機密保護法』に反対していたのは保身のためとも言えるでしょう。鳩山元首相のような行為に手を染めていた政治家が他にもいる可能性が否定できないからです。

 重要文書の無断持ち出し(= 盗み出し)は「マスコミの常套手段」ですし、「組合活動に熱心な職員が隠し持つ」ことは現在でも常態化しています。

 そのため、『特定機密保護法』が作られ、『公文書の定義』が厳格になったのです。民主党政権時代は可能だった “デタラメな運用” に制限が設けられたことは「大きな改善」と言えるはずです。

 一方で、公文書問題で安倍政権を批判していた野党やマスコミは批判する資格を失ったと言わざるを得ないでしょう。なぜなら、「鳩山元首相の公文書持ち出し」に対する姿勢を示しておらず、批判すら行っていないからです。

 まずは立憲民主党の源流にあたる民主党政権期の公文書管理問題に対する “けじめ” を付けることが重要です。それができないから、野党への支持が広がりを見せていない原因になっていると言えるのではないでしょうか。